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ひと夏の恋  作者: 環流 虹向
7/6
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7:00

やっと朝が来た。


タバコと赤ワイン臭い口で舐めかけの飴を入れられながら、俺は朝焼けの景色を社長の耳越しに眺める。


夏「美味しいです。…もう、昼職の時間が迫ってるので行かないと。」


社長「私の所で働けば今よりいいお給料あげるわよ。」


夏「石の上にも3年って言うじゃないですか。あと1年は頑張ろうと思います。」


社長「その我慢が利益になるならやればいいわ。」


社長は飴を俺の口に入れるとソファーの上にあるガウンを取りに行く。


俺は近くの棚に置いてある服を手早く取り着替える。


夏「では、俺は行きますね。本指名して頂きありがとうございました。」


俺はそそくさと出ようとすると、社長が俺の尻を掴んでズボン越しに谷間を触ってくる。


社長「またね。」


夏「…はい。」


俺はうまく笑顔を作れたか分からないほど、この場から逃げるのに必死だった。


玄関に行った俺は、靴を履くのも惜しくてかかとを踏んで部屋を出る。


恐る恐る後ろを振り返ると社長が部屋の扉を開けたまま、俺がエレベーターに乗るのを見守る。

俺は軽く会釈をしてやっと来たエレベーターに乗り込む。


乗り込んだ俺はすぐに閉ボタンを連打してその場にしゃがみこんでティッシュに飴と唾を吐き出す。


俺はなんとか昨日の記憶を必死に消そうとするが、拘束されていた手首には若干跡がついていて早朝までの記憶が蘇ってしまう。


学校に行く頃にはきっと消えてくれることを祈り、迎えの車で学校付近まで約束通り送ってもらいながら自由になれたことに一安心した。


けれど社長が時間外になっても俺を拘束したからこの車が着く頃にはHRギリギリで、でもいつもみたいに走っていたらもう間に合わない時間。


車で送ってもらえる事に感謝しながら目を瞑り、俺は仮眠を取ることにした。


俺は車に揺られながら学校に無事到着出来た夢を見ていると膝を叩かれ起こされる。


夏「…あ、すいません。着きました?」


「いや…、この渋滞に掴まってしまって抜けれないんですよ。時間大丈夫ですか?」


俺は携帯で時間を確認すると10分前に迫っていた。


夏「ここどこですか?」


「ハイカラ町の大通りです。多分、車で行くより足で行った方が早いかもしれないです。」


夏「分かりました。ここで降りるので車つけてもらっていいですか?」


「はい!申し訳ないです。」


ドライバーさんはすぐさま歩道に近づいて車を止めてくれた。


俺は仕事道具をドライバーさんにお願いし、自分の物だけを持って学校に向かう。


ここから走って調子いい時は7分で着く。


せっかくここまで来たんだから遅刻せずに1日を始めたい。


俺は寝不足でうまく動かない体を懸命に動かしてなんとか教室まで到着する。


今日はだいぶ無理したからフリーを入れてもらうのはやめてもらおう。


そんな事を思いながらゆっくりと教室に向かおうとすると、肩を叩かれて振り向くと栄美先生がいた。


栄美「大丈夫か?調子悪いなら保健室行ってもいいぞ。」


相当顔色が悪いのか栄美先生はいつも以上に心配してくれる。


夏「コンクールのための準備をしてたら朝を迎えてしまって…。」


栄美「ああ、JAPAN ORIZINN CONCOURSか。体を壊して作品を作るもの1つの表現だが、勧めはしない。もう少しで夏休みなんだ。しっかりスケジュール管理しろよ。」


栄美先生はまた俺に汗拭きシートをくれる。


夏「ありがとうございます。気をつけます。」


栄美先生と俺で一緒に教室に入り、HRが始まる。


栄美先生の言う通りだ。

もう1度、スケジュール調整をしないと仕事もプライベートも上手くいかなそうだ。


俺は疲れた頭の中で優先順位をつけながら、お客さんに営業メッセージを送りまくった。




→ CANDY

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