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ひと夏の恋  作者: 環流 虹向
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22:00

「いつもありがとう。」


先週のクラス会でばったり会ってしまったマサキさんが俺にいつもの笑顔でお礼を言ってくれる。


夏「ううん。先週はお仕事頑張ったみたいだね。脚全体張ってた。」


マサキ「うん。バイトの子が夏風邪引いちゃって、その子の分も出てからフルだったの。」


俺は話を聞きながらマサキさんの体をタオルドライしてクリームを塗る。


夏「大変だったんだね。今日で疲れ取れたら嬉しいな。」


マサキ「優くんのマッサージ、そこら辺のマッサージ店より気持ちいいよ。だからNo.1なんだよ。」


夏「マサキさんが俺を育ててくれたんだよ。ありがとう。」


俺はクリームを塗り終わり、マサキさんの頬にキスをした。


するとマサキさんは少し恥ずかしそうにするけれど、嬉しそうに優しく微笑んでくれる。


俺はその顔が見れて満足。


自分の体を拭き、2人で服を着て外に出る。


マサキ「また来週も予約するね。」


夏「うん、待ってる。」


俺はマサキさんとハグをして、お見送りしようと歩みを進めるマサキさんに手を振っていると向こうに見たことある人影が見える。


(ひと)くん!?


俺は驚き、とっさにホテルの出入り口に隠れる。


すると一くんはマサキさんの腕を取り、組み始める。


マサキさんも一くんが来たことに驚いていて、一くんに気づかれないように俺を探して目を合わせる。


『行って!』


と、マサキさんが俺を見つけて口パクで言った。


俺はごめんなさいと伝えて、一くんが振り返らないうちにその場から立ち去る。


危なかった。


学校から近いとはいえ、同じ学校の子に遭遇するのは初めてで俺の心臓は変に脈打った。


俺は走って事務所に戻り、店長にお金を渡してお泊りコースの準備をする。


昼は瑠愛くんと話に夢中になっちゃって仮眠するの忘れちゃったんだよな。


ついさっき、マサキさんが少しだけ仮眠を取らせてくれたけどそれでも頭がスッキリしない。


俺は若干眠気が来てる頭を起こすためにミントタブレットを3つ一気に食べる。


今日が終われば明日は瑠愛くんオススメのラーメン屋さんに連れっててもらえる。


それだけのために今の俺、頑張れ。


「優治さん、準備出来ましたか?」


と、自分を鼓舞してるとドライバーさんが俺に声をかけてくる。


夏「はい。トイレ行ったら車行きますね。」


分かりました、と言ってドライバーさんは外に出た。


店長にはわがままを言って、明日夕方からの出勤にしてもらったから少しは寝れる。

今日をやり抜けば明日は楽しい日になる。


俺は自分の気持ちを明日へ高めさせて車で社長の家に向かう。


社長の家はあの店舗から30分のタワーマンションの高層階。


この店以外にも色々してるからばらまく金があるんだと瑠愛くんが教えてくれた。


しばらくして、そのタワーマンションに着くとドライバーさんが扉を開けてくれる。


夏「ありがとうございます。」


「また、朝にお迎えに来ます。そのまま学校ですよね?」


夏「はい。よろしくお願いします。」


俺は少し胃が痛いのを感じながら社長が待つ3701号室に向かう。


エレベーターで時間稼ぎをしたくても高性能過ぎて数十秒で目的の階についてしまう。


あの部屋に近づくに連れて俺の脚がどんどん重くなり、インターフォンを押す指までも重く感じる。


[ガチャ…]


インターフォンを押すのを拒んでいると目の前の扉が開いて小さい影が俺に抱きつく。


社長「遅い!お客さんをお待たせするのはよくないことよ。」


夏「す、すみません。俺、方向音痴で…。」


社長「そうなのね。ならしょうがないわね。」


そう言って、社長は俺の手を掴んで部屋に入れる。


俺はこの居心地の悪い溶けたマーブルチョコのような夜景が見える部屋でナツメさんが俺に手を出さないよう必死に抗った。




→ Good Days


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