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ありあけの月 ──暁──  作者: 香居
二章 保元元年(一一五六)六〜七月

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戦の爪痕(四)




「……だが私は、産まれ出でた時から〝次期長の嫡男〟だ。我が家の品位を損なわぬためには、私自身のふるまいも大事だろう」

「たしかにそうですが、それは成人の儀が済んでからでも構わないことなんですよ。あなたは童なんです。今若丸様のように天真爛漫とはいかずとも、もっと奔放にふるまってもいいんですよ」


 小助の言葉は皆の言葉でもあるのだろう。家族も一族の方々も家臣たちも。似たような眼差しをなさることが、たびたびあるのだ。面と向かって諭されたことはないが、かようなことを仰りたかったのだろう。


「そなたの心遣い、ありがたく思う」


 私の性質からして奔放にというのは難しいやもしれぬが、案じてくれるその心がありがたいと思う。


「私は、今の在り方を苦に思ったことはないのだ。『身分に関わらず己にできることあらば、力を尽くすべし』 ご先祖様のかような(こころざし)は、この魂にも染み込んでいる。臣籍降下より約三百年、我が一族がここまで血をつないでこられたのは、ひとえに互いを思いやってきたゆえに他ならぬ。血で血を洗うような醜い争いは、我が一族とは無縁。それはまことに稀有なことであると、そなたも思わぬか?」


 私の問いに、小助は神妙な面持ちで頷いた。


「そうですね。言及はしませんが、たしかにそう思います」


 同意する小助も、没落した公卿や貴族を思い描いていることだろう。一族間で争い事の絶えぬまま、今なお栄華を誇っている藤原氏は、また別の話だが。


お読みいただきありがとうございます。

またブックマークや評価などにも感謝いたします。

次回更新は、8月2日23:00頃を予定しております。


誤字脱字がございましたら、ご指摘いただけますと幸いです。

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