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【4月7日より】ありあけの月 暁編【改稿中】  作者: 香居
二章 保元元年(一一五六)六〜七月

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戦の爪痕(一)




 此度の大規模な戦は、今の元号から『保元の乱』とされた。……彼女の教養書と同様に。

 頼長卿を始めとする崇徳方の生存者たちは、臨時除目からまもなく行われた申し開きの場において、さらなる弾圧を受けた。国家反逆という罪を背負わされた彼らは、信西殿の手によって重罪人として扱われたそうだ。

 まるで拷問のような激しい尋問が、二週間経った今もなお続いているという。彼らには、挙兵し参戦したこと以外に自供できることなどなかろうに。犯してもいない罪を自白せよというのか。

 討ち取られてしまったお祖父様や一族の方々には、尋問が行われることはない。それだけが救いだ、と父上は仰った。

 我が家は今、信西殿からの理不尽な脅しに苛立ちながらも、粛々と生活している。これ以上の弱みは握らせまいと、父上や異母兄上方は気を張り詰めていらっしゃる。

 戦には勝ったが、皆の心が晴れることはない。


 私は毎日、朝に夕に、お祖父様の遺髪が祀られている室で祈りを捧げている。

 ……さし上げた術符が作動しなかったのでしょうか? 私が未熟者であるがゆえに、お祖父様をみすみす喪うこととなってしまったのでしょうか? それとも……武士の誇りにかけて、戦場にはお持ちにならなかったのでしょうか……?

 祈りの合間に訊ねてみても、返答はない。だがこのままお祖父様から返答が得られぬとしても、親衡殿や小助に訊ねれば即わかることだ。それをわかっていながら、いまだそれができぬのは……頭をよぎる答えへの恐れやもしれぬ。


お読みいただきありがとうございます。

またブックマークや評価などにも感謝いたします。

次回更新は、7月27日23:00頃を予定しております。


誤字脱字がございましたら、ご指摘いただけますと幸いです。

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