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ありあけの月 ──暁──  作者: 香居
二章 保元元年(一一五六)六〜七月

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※ 七月十一日(四)




 お祖父様の太刀筋は、戦場においても見事だっただろう。後白河方に属されていたら、さぞ称賛されたに違いない。……だが、いくらお祖父様が優れた武士でいらしたとて、おひとりで戦を行うわけではない。


「崇徳方の他の指揮官は、どのような方々でいらした?」

「おひと方は源氏の方でした。大殿を慕い、戦場でも大殿を守ろうと必死でいらっしゃいました。あとのおふた方は平氏の方々でした」


 いずれの方々も急遽集められた私兵団の指揮をしつつ、懸命に戦われた。


「頼長卿は、いかに?」


 私の問いに、小助は静かに嘲笑った。


「何とも無様なものでしたよ。大将でありながら最後尾から出て来ようともせず、戦況が危うくなればなるほど『何をしている! 私を守れ! そのための武士だろう!』などと声高に叫び散らしていました」

「な──っ」


 私は絶句した。大将ともあろう方が、あまりに無責任ではないか。


「その大声のおかげで、すぐに居場所が知れて捕縛と相成った訳ですが。いくら『日本一の学者』などと称えられようとも、肝心な時に人を盾にするようでは、その資格があるとは思えませんね。まぁ、ある意味貴族らしいとも言えますが」


 珍しく矢継ぎ早に話す小助。


「……たしかにな」


 私は、いささか気圧されつつ相づちを打った。

 身分の違いによる偏見は、この世界の随所で見られる。よほどの人徳者でない限り、貴族は頼長卿のような考え方が多い。


「此度の件により、殿と義康様は内昇殿(ないしょうでん)(清涼殿の殿上(てんじょう)()へ昇ること)を認められましたが、貴族側の偏見がなくならない限り、肩を並べることは難しいでしょうね」

「そうだな。我ら武士は〝猛々しい(図々しい)者〟であり、屋根の外で警護する者──らしいゆえな」

「実に馬鹿馬鹿しいと思いますよ。此度の戦は、その武士の力をいいように利用したのですからね。まことに図々しいのはどちらか、冷静に考えてみればわかることでしょうが」


 小助の〝気〟が怒りに揺らぐ。


お読みいただきありがとうございます。

またブックマークや評価などにも感謝いたします。

次回更新は、7月25日23:00頃を予定しております。


誤字脱字がございましたら、ご指摘いただけますと幸いです。

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