※ 七月十一日(二)
「各々一族の力が使えなかった崇徳方は、ほとんどが私兵団だったようです。数ばかりではなく力の差も歴然でしたが、出陣以外の選択肢は残されていませんでした」
「……崇徳上皇陛下の御尊厳を、守るためか……」
「そのように思います」
崇徳方にとって戦で名を上げることこそ、崇徳上皇陛下をお護りする唯一の方法だったのだろう。
道理はどうあれ勝てば正義。その思いひとつで挑んだ戦は、惨敗を喫した。奮闘しながらも本拠地に火までかけられては、兵も崩れるほかなかった。
「子三刻(午前零時)に始まった合戦は、午三刻(午後十二時)には終結していました」
「……半日……」
たった半日のために、お祖父様は命を賭されたというのか。
「報告を続けますが……よろしいですか?」
「……続けてくれ」
手を握り締めたまま、私は頷いた。
「その二刻(一時間)後。朝廷──信西殿は、臨時除目を掲げました」
「二刻? 早過ぎぬか?」
「頼長卿を捕縛した後、急ぎ足で陣営から内裏へと戻り、除目の体裁を整えたのです」
「急ぎ足……」
……そうか……
「……この時を、待っていたのだな。信西殿は……」
「……おそらく」
当然、諸々の処分が決まる前の除目に首を捻る方が多かった。だが武勲を立てた恩賞という名目を前に、口を開く方はいなかった。
一刻も早く、一人でも多く。
後白河方の者で周囲を固めたいという信西殿の思惑は──朝廷の最高機関などの要職に、ご子息方が就くという形でも現れた。
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次回更新は、7月21日23:00頃を予定しております。
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