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ありあけの月 ──暁──  作者: 香居
一章 久寿三年(一一五五)四月~十二月

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※ 熱田のお祖父様(二)




『……人は皆、いつか迎えることだ……』

『お祖父様……』

『……生も死も受け入れる……それが、人として、この世に在ることの定め……』

『されど、お祖父様はまだまだお若いではありませんか。末永く、私たちとともに──』

『受け入れよ』


 ご指南の時のような、温かくも厳しいお言葉。


『……そなたは賢い子だ。もう、わかっているだろう。……私の、自慢の孫ゆえ……』


 そのように仰られたら、何も言えぬ。

 手に爪がくいこむ痛みよりも、お祖父様を見つめることしかできぬ歯がゆさのほうが強かった。その奥には、しだいに枯渇していく神力を懸命に注がれる神使の方。

 無心を装う表情に見え隠れする悲痛な……それは一層実情を伝えてくるものだった。

 私はどこかで、お祖父様は、いつまでもともにいてくださると思っていたのだ。お見舞いに伺うたび、痩せ細っていかれるのを目の当たりにしていたにもかかわらず。喪うことへの恐れが、死というものを考えることを無意識に放棄していたのだと気づかされた。


 覚悟が決まっていなかったのは母上ではない。

 私のほうだ。


お読みいただきありがとうございます。

次回更新は、6月10日23:00頃を予定しております。


誤字脱字がございましたら、ご指摘いただけますと幸いです。

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