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ありあけの月 ──暁──  作者: 香居
一章 久寿三年(一一五五)四月~十二月

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迎える命(二)




 ひとつ気にかかったのは……『終わるまで(・・)』と仰ったこと。いくら我が家の近くにお住まいとはいえ、何日かかるかわからぬのだ。お祖父様の体が保つのか?

 神使の方を目で(うかが)うと、私の視線に気づかれ目を伏せられた。……お祖父様も神使の方も。覚悟の上、なのだな。


「《魔も邪も入れぬようにするゆえ、後はそなたが〝気〟を確かに持つのだ。良いな》」


 お祖父様は神官としての務めを果たそうと、気丈にふるまっていらっしゃる。体は悲鳴を上げているだろうに。


「……はい……」


 頷かれた義母上の心の重荷は、少し軽くなるのではなかろうか。完全に取り除かれるわけではないことは、皆承知している。

 この世界のお産は、母子ともに安全とは決して言えぬ。母となる方は、その身に新たな命を宿しながら……死と隣り合わせにいるのだ。


「挨拶のために無理をして起きていたのだろう。さぁ、横になりなさい」


 お祖父様が温かな眼差しで義母上をいたわられた。


「……お心遣い……かたじけなく、存じます……」


 義母上は傍にいらした父上と母上の手を借り、お産用の(しとね)へ横になられた。父上と母上は、そのまま傍についていらっしゃる。母上は、義母上のか細い手を握られた。

 父上にとっては、大事な側室ゆえに。

 母上にとっては、妹のような存在ゆえに。

 お産の間際まで、おふた方とも寄り添われるのだろう。

 義母上は申し訳なさそうではあるが、どこかホッとしたご様子でもあった。


お読みいただきありがとうございます。

またブックマークや評価などにも感謝いたします。

次回更新は、6月7日23:00頃を予定しております。


誤字脱字がございましたら、ご指摘いただけますと幸いです。

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