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ありあけの月 ──暁──  作者: 香居
一章 久寿三年(一一五五)四月~十二月

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迎える命(一)




 藍色の夢を見てから少しして、まずは父上と母上に、熱田のお祖父様の件をお伝えした。他の方々へは、常盤の義母上のお産が済んでから……という話になった。

 母上は昨年から、辛いながらも覚悟を……と思っていらしたようだ。そこへ抗いようのない御神託が、目の前に突きつけられてしまった。そのご心痛はいかばかりか。泣き崩れていらした姿が、すべてを物語っていた。


 数ヶ月後。

 我が家は重陽の節句と常盤の義母上の産み月を迎えた。

 お産を間近に控えたある日のこと。

 熱田のお祖父様が祝詞(のりと)を上げに来てくださった。その傍には、やはりあの神使の方がつき添っていらっしゃる。私以外には見えておらぬようだが。

 ゆったりとした神官服を纏われていても、本来ならば動けぬであろうほどに痩せてしまわれたのは一目瞭然だった。


「……お父様……っ」


 母上は息を飲まれ、袖を口元へ当てられた。お祖父様の命の先を、まざまざと見せつけられたようだ。義母上の手前、涙は堪えられたが。

 お祖父様は母上へ微笑まれ、静かに頷かれた。いつかは訪れることだ──そう仰っているような表情だった。それから義母上のほうを向かれた。


「久しいな、常盤殿」

「……ごぶさた、しております……」

「うむ。《そなたのお産が無事に終わるまで、ここの〝気〟が正常に保つよう祈るゆえ。安堵いたせよ》」


 お祖父様の言霊が義母上に贈られた。相手を思う、やさしく力強い言霊だ。私も、お祖父様のように在りたい。


お読みいただきありがとうございます。

またブックマークや評価などにも感謝いたします。

次回更新は、6月6日23:00頃を予定しております。


誤字脱字がございましたら、ご指摘いただけますと幸いです。

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