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ありあけの月 ──暁──  作者: 香居
一章 久寿三年(一一五五)四月~十二月

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心を合わせて(二)




「……、に……」


 義母上が、か細い声で呟かれた。


「何でございますか!? 姫様!」

「……胸のあたりの、重苦しさが……楽に……」


 義母上の言葉に、皆一様に力を抜いた。

 言霊を贈って間もなく顔色は良くなられたが、そこまで効いたか。

 安堵したら、だるさが増した気がする。今宵は早く休もう。


「良かったな、今若丸」

「よかったー」


 今若丸もホッとしたようだ。

 端のほうから、今若丸の偉業を称える歓声が上がった。私の名も挙がっていたが、私のことはよい。今若丸を存分に褒め称えてやってくれ。


「……ありがとう、ございます……若様……」

「この周防からも、心より御礼申し上げます」

「私の霊力は、今若丸の言霊を後押しした程度にございます。謝意はありがたく存じますが、今若丸の功績を褒め称えてやってくださいませ」


 私は返答申し上げた後、今若丸の頭を撫でた。


「そなたの『いたいのいたいのとんでいけ』が効いたのだぞ」

「むふん」


 得意気な今若丸。

 端のほうから、今若丸の愛らしさを称える歓声が上がった。……いや、だから私の笑みなどはどうでもよい。今若丸を存分に褒め称えてやってくれ。


 己にできることがあり、それを褒められると嬉しいことに年齢は関係ない。

 私が弟たちにしてあげられることは多くないが、こうした情操教育の一端でも担えれば幸いだ。


お読みいただきありがとうございます。

またブックマークや評価などにも感謝いたします。

次回更新は、6月1日23:00頃を予定しております。


誤字脱字がございましたら、ご指摘いただけますと幸いです。

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