愛しの異母弟(二)
「『大活躍』だ。義母上をお助けしたのだろう?」
今朝の一件を褒めると、今若丸は、あ、という顔をして、
「『とんでー』、した」
と答えた。
「うむ。そなたの『いたいのいたいのとんでいけ』で、義母上は楽になられたそうだ」
「なった?」
丸い目を義母上にまっすぐ向ける今若丸。
「……えぇ、なりましたよ……ありがとう……」
義母上が母の顔でやさしく微笑まれた。
「むふん」
得意気に胸を張る今若丸。
「「「愛らしい……っ!」」」
女房たちが端のほうで身悶えつつ、ひそかな歓声を上げた。……わかる。わかるぞ。我が家の弟妹たちは、皆愛らしいのだ。
ともに歓声を上げるわけにはいかぬ私は、頷きにて同意を示した。
「義母上」
「……はい……」
「私も、唱えてみてもよろしいでしょうか。義母上の苦しみを、少しでも和らげたいのです」
「……それは……若様の、ご負担が……」
「義母上のお体との親和性を見るため、少量の霊力から始めますゆえ。ご案じなさいませんよう」
「姫様。唱えていただきましょう」
「……周防……」
「きっと、良くなられますよ。若様の言霊は、熱田のご神職様のお墨付きですもの」
周防の口添えにより、義母上は心を決められたようだ。かなり遠慮がちではあるが。
「……では、若様……お願い、申し上げます……」
「はい。心をこめて、唱えさせていただきます」
義母上に返答申し上げると、下から視線を感じた。
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次回更新は、5月30日23:00頃を予定しております。
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