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ありあけの月 ──暁──  作者: 香居
一章 久寿三年(一一五五)四月~十二月

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義母上を見舞う(一)




 申一刻を少し回った頃。

 桜草の花束と温石を携え、近江を伴い北対を訪れた。入り口に取り次ぎの女房が立っていた。


「出迎えご苦労」


 私は、ねぎらいの言葉をかけた。


「常盤の義母上の見舞いに参った。義母上のおかげんはいかがか?」

「いつもよりは、お元気そうに見受けられます」

「左様か」


 少し安堵した。


 庇の間を通り御簾をくぐると、義母上が奥座に座っていらした。背格好も顔立ちも、少女のようでいらっしゃる。

 普段は淡い色をお召しになることが多い。だが本日は、蘇芳(すおう)色を基調とした重袿をお召しになっていた。表着も、いつもより華やかだった。少しでも顔色を良く見せようとなさったのだろう。さらに、さりげなく脇息(きょうそく)(ひじ掛け)にもたれていらした。 

 義母上付きの女房・古参の周防(すおう)は、大層気がかりであるようだ。傍で見守る視線には憂いが含まれている。

 このご様子で『いつもよりはお元気』とな……? ならば普段のお辛さは耐えがたいほどではないか。こうしてお見舞い申し上げるほかに、私にできることはないのか?

 私は御簾近くの女房に温石を預けた。周防へ渡されるまでに幾人かの手を経ていく。その作法を目に入れ、いつもの位置へ腰をおろしつつ、私は己の無力さを歯がゆく思っていた。


お読みいただきありがとうございます。

またブックマークや評価などにも感謝いたします。

次回更新は、5月24日23:00頃を予定しております。


誤字脱字がございましたら、ご指摘いただけますと幸いです。

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