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ありあけの月 ──暁──  作者: 香居
一章 久寿三年(一一五五)四月~十二月

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新たな心持ちで(一)




「若様」


 御帳台の外から、やわらかな声がかかった。近江の声だ。


「朝にございます」


 歳の離れた弟をやさしく起こすような、いつもと変わらぬ声を耳にし。私は、この世界で生きていることを実感した。

 御帳台から出て朝の手水(ちょうず)(洗顔とその他)を済ませると、小狩衣が用意してあった。


「本日は、こちらをお召しになってくださいませ」

「うむ」


 色合わせが名称となっている『菖蒲重(しょうぶのかさね)』だった。菜種色の表地の袖口から、裏地の萌黄色がちらりと見えた。

 朱色の単衣(ひとえ)を着て、紫色の(さし)(ぬき)を履き、菖蒲重の小狩衣を纏って──近江の手を借り、普段着に着替える。

 ひとつ道が違えば、こうして近江と会うこともなかったのやもしれぬ。今あることを、あたり前だと思ってはならぬのだな。夢にて、良い教えをいただいた。


「近江」

「はい。腰帯がきつうございますか?」

「いや、……問題ない」

「ならばよろしゅうございます」


 次は二筋(すい)(はつ)を結ってもらうため、近江に背を向け腰をおろした。小狩衣を痛めぬよう肩から布が掛けられたのを機に、私は床を見つつ改めて口を開いた。


「……実は、昨夜、御神託をいただいた」

「まぁ……」


 背中ほどまである私の髪を、丁寧に櫛けずる近江の手が止まった。


お読みいただきありがとうございます。

またブックマークや評価などにも感謝いたします。

次回更新は、4月28日23:00頃を予定しております。


誤字脱字がございましたら、ご指摘いただけますと幸いです。

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