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【4月7日より】ありあけの月 暁編【改稿中】  作者: 香居
一章 久寿三年(一一五五)四月~十二月

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童の姿にて目覚める(一)




 目覚めたのは、御帳台の中。天蓋(てんがい)の明り取りから、夜明け間近の明かりがわずかに入ってきていた。

 目の前に手をかざしてみる。寝衣の先にあったのは、まごうかたなき童の手。

 ……この小さな手では、(すく)えるものも掴めるものも少なかろう。だが家族の──家族ばかりではない。家臣たちも含め、大切な者の命は、ひとつとして取りこぼす訳にはいかぬ。

 夢にていただいた御神託を無にしてはならぬのだ。

 

 神気をすり減らしてまでも〝私〟の魂の在処を示してくださった、神使の方のためにも。

 病の床にいらしてまでも私を案じてくださる、熱田のお祖父様のためにも。


「……お祖父様……」


 かざした手が、衾にぱたりと落ちた。

 夢からの去り際、神使の方は、今年中に覚悟を決めよ、と仰せになった。

 今は四月。あと八ヶ月の間に、覚悟を……家族には、折を見て伝えねばなるまい。


お読みいただきありがとうございます。

またブックマークや評価などにも感謝いたします。

次回更新は、4月26日23:00頃を予定しております。


誤字脱字がございましたら、ご指摘いただけますと幸いです。

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