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窮鼠は仔猫を噛めず  作者: こんふぃさ
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仔猫と子正月

短いです。

 みなさん、明けましておめでとうございます。

 西暦二〇二〇年の令和二年。

 しかも子年。

 なんともまあ切りの良い、節目の年でしょうか。

 そんな始まりの正月。

 三が日はいかがお過ごしで?

 餅はもう食べましたか。

 凧はもう揚げましたか。

 お年玉は幾ら貰いましたか。

 家に篭ってゴロゴロするも良し。

 恋人と暖かいハワイへ日本から逃げ出すも良し。

 新幹線と電車と地鉄とバスとタクシーを乗り継いで田舎の実家に帰省するのも良いでしょう。

 普段顔を合わせないどころか名前さえ覚えていない親戚一同集まって、お雑煮とお節を突きつつお酒を飲んでどんちゃん騒ぎ、なあんてのは都会田舎問わず、今時じゃあ中々お目に掛れない光景でしょうかねえ。


 さて、今からは始まるお話はそんな有り触れた正月での出来事。

 時間は元日の朝八時。

 場面は薄らと雪が積もる田舎町の小さな家の前から。


「おねえちゃーん! こんにちわー!」


 玄関のチャイムを押す前からドンドンと戸を叩き、ご近所に憚ることなく高めの大声で呼びかけるのは紋付き袴姿の可愛らしい仔猫の少年。

 今年で七歳。

 都会産まれ都会育ちの、親の実家がある田舎ではちょっと変わり者で有名な腕白坊主。

 寒い冬にも関わらず炬燵で丸くなるどころか外で子犬を相手に派手にケンカと、まあ猫らしくない雄の仔猫ちゃんです。


「はつもーで、いっしょにいこー!」


 そんな元気いっぱいの仔猫を寝室の窓から寝惚け眼で恐る恐る覗き見るのは、小さな家の主である灰色スウェット姿の雌の鼠。

 そう。

 仔猫が言う所のお姉ちゃんとは、田舎産まれ田舎育ち、ちょっと出不精で運動不足気味な、今年で二十九歳になる鼠のお姉さんなのです。


(・・・なんでいつも、普通にチャイム押してくれないのかしら)

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