無くなる記憶
これはTwitterで流れてきたお題を使わせて頂いた物です。
【番外編】
(10本全部飲めば記憶がすべてなくなる薬を、飲まないと出れない部屋に閉じ込められた、紗楽と愛。)
紗「じゃあ飲むよ?」
愛「・・・・・・・・・・。」
紗「あい?」
愛「や、やっぱさぁ。。。紗楽がしようとしてるやり方を俺が真似するとか…」
紗「あい。絶対思い出すよ。忘れた事を忘れさせてやる」
愛「(´._.)わ…。分かった」
紗「多分飲んだ後は倒れると思うが、心配しなくていい。」
愛「へ;;;;;!?」
紗「記憶を失う事にたいして、脳が処理しきれず眠気を起こすと思うんだ。ただ寝てるだけだから、起きるまでほっといてくれていい。その間だけ寂しい思いをさせるが…」
愛「そっそれって絶対起きるのかよ!?」
紗「問題ないよ。体になんの異常もなければ脳が今ある情報を取り入れようとするはずだから、必ず目は覚める」
紗「じゃ、おやすみ愛」
愛「軽く言うなよ…」
(バサッ)
愛「(本当に大丈夫なんだろうな…このまま起きなかったら。起きても思い出さなかったら…紗楽がまた俺を選んでくれる可能性は?)あーヤバい…泣けてきた…」(グスッ)
愛「かっこわる…」
紗「・・・・・・・・。(ここどこだ?)」
目を覚ました紗楽は自分の腕を枕にしている青年を見た。
青年は目の周りが赤くなり、頬には涙の跡が残っている。
紗(さて…と。これはどー言う状況だ?周りにこの子以外の人っ気はない。どれだけ記憶を辿ろうが何も思い出せない。。。)
紗(事故?何かから落ちて倒れた俺を、この子が…いや、違うな。それならここは病院のはずだ。じゃあなんでこの子は泣いた跡があって、俺にしがみついてる?)
紗(どこかに…何か残してないのか?)
紗楽は服のポケットや体を探れるだけ探った。
紗(財布、バイクや家の鍵…名刺入れと…『メモ』)
紗楽は財布の中にあった免許証を見て自分の名前
名刺を見て自分の職業
鍵を見て、ここは自分の家ではない事を察した。
紗(ここが家なら鍵は持ち歩かないだろ。。。2人で自殺…はないな。この子も明らかに生きてる。体にはなんの傷もない。あとはこのメモ…)
『隣にいるのがお前の世界で1番 愛 してる大切な人だ。必ず思い出せ。PS.書庫の茶色いノートを読め』
紗(もう少しまともなメモにはならなかったのか?『紗楽』さん)
紗(まぁなんとなくだが、隣にいる子は愛で良いのかな?深読みし過ぎかもしれないが… で、書庫の茶色いノート…は家の書庫って事で良いだろう。見た感じこの部屋に書庫はない)
紗(とりあえずこの子が俺の為に泣いてくれた事と、記憶を失う前の俺が『必ず思い出せ』と言っているんだ。この子はもう泣かせちゃダメ…ああ。なるほど。記憶がなくなる事を知ってたんだな。俺もこの子も。で、あからさまにさっきから気になってたこの10本の瓶が関係あるわけだ。はは(笑 本の世界かよ…)
紗(じゃあ記憶を失ってない素振りを見せれば驚くかな?笑)
そんな事を考えているうちに、横で寝ていた愛が目を覚ました。
愛「紗楽ッッ?!?!」(バッ)
紗「おはよう、あい」(多分呼び方はこれであってる。特別な呼び方をしていれば書くだろ。)
愛「あ、え?し、紗楽?記憶…」
紗「あれ?記憶を失う前の俺は『必ず思い出す』って言い忘れたか?」
愛「紗楽ぅ」(グスグスン)
紗「泣くな泣くな(笑 心配かけたな」(頭ポンポン)
愛「なんかよくわかんねぇけど良かったぁぁあ(泣」(ギューーーーー)
紗「さて、家帰るか。その前に警察に電話だな」
愛「警察?」
紗「ここまで呼ばれて、中に入ったら扉が閉まって、記憶飛ばさなきゃでれませんってなったんだろ?所謂1種の監禁だからな」
愛「紗楽…お前ホントに記憶なくなったのか;;;?あの薬偽物?」
紗「ふふっ(当たりだったみたいだな)そーだなぁ、偽物だったかも(笑」
愛「???(๑⃙⃘.๑⃙⃘)???」
紗楽は警察を呼び、色々と話を聞かれたがそつなくこなし、数時間で警察から解放された。
紗「さて…」
バイクに跨り後ろに愛を乗せると、紗楽は悩む事なく、家の方へ向かった。
紗(こっちが市内だったな。さっき免許証に書いてあった住所も市内だったからとりあえずこっちに向かえばいいだろ)
愛は何故紗楽がなんの変化もないのか不思議で仕方なかったが、そんな事より自分を忘れていないこの現状に安堵していた。
紗楽は家に帰るやいなや、メモに残された書庫の茶色いノートを見て、すべてを思い出した。
紗「(我ながらマメな人間で良かったよ。)関わった事件を全部ノートに…どころか家族の写真や愛の事まで全部挟んである(笑」
愛「紗楽ーっ?」
紗「ああ。今行く。」
【おしまい】