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模型兵装  作者: 存在 竹刀
高等部入学
28/47

順位戦本戦3回戦〜試合後1

 翌日、3回戦。

 試合前に色々試したくはあるのだが、この機体も新兵器も魔力の消費が大きいため断念。

 まぁ、そんな心配は無用だったと言える程度には楽勝だったのだが。

 素早く近付いて腕部を、続けて頭部を斬り飛ばして試合終了、と観客には受けないだろう試合だった。

 と言う訳で完調を取り戻した製作者を交えて試合後に様々やってみる事になった。


「思い返すと、説明不足もはなはだしくて申し訳ありません」

「それは仕方あるまい。睡眠不足の時なんてそんなものだ。で、これはどういう仕掛けなんだ」

「ご覧の通り、構造は至って単純です」

「構造強化と水顕現以外、何か隠れてる訳でもなさそうだ」


 まず目の前、横にかざして発動。注ぎ込んだ魔力は昨日と同じ程度。

 一呼吸くらいの時間、刀身の周囲が揺らめいた、ように見えた。

 そして一拍置いて少量で散発的な雨のような水音。

 刀身の延長線上が濡れていた。

 サヤが大きく深呼吸する。


「図書館で、ある古い資料を発見しました。それは火属性や土属性に変換しないで水属性のまま外部兵装として使えないかと研究、実験した記録でした。その中の一つに、砲身の射出口を針の穴程に狭め、砲身内を水顕現で容量以上に満たした時に、穴から噴出した水が直近であれば金属でも穿ったとありました。一般的に使われている放出の術式で同じだけの威力を出そうとしたら、砲身の長さが模型兵装の5倍にもなったとか。暑い時期の子供の水玩具をそのまま強力にして武器に出来ないか、と考えたようです。ただ距離による威力の減衰が著しく、その研究は遠距離攻撃が目的だったので失敗として打ち切られていましたが。これに着想を得まして、点ではなく線にすれば切れるのではないかと思っていたところ、ちょうど砲身が売り切れだと言われたので射出型にこだわる必要もない、というか切る事が目的なのだから剣の形の方がいいのではないかと思った次第です」


 そして、何となくやりきった雰囲気。

 確かに、この長い説明を噛まず詰まらず…流石に息継ぎは必要だったようだが…喋り切れたのは凄いと思う。


「なるほど。属性変換しない、顕現させた後は形状、射出、距離の設定も、追加効果の記述も必要ない。だから術式が簡単で、発動も早い。しかし、構造強化は必要なのか…いやそうか、金属を切るだけの力に耐えられる強さが必要か」


 次に、試し切りのために準備した鉄塊にまずは刀身を当てただけの状態で魔力を流してみる。

 一瞬で刀身の幅と同じくらいのところまで綺麗に切れたが、それより先は切り口も乱れ、切れていない箇所もある。

 更に試す。今度は魔力を少なめに。

 半分まで減らすと、表面に傷を入れるのが精一杯になった。

 体感で魔力を1割減らすと切るのに必要な時間が伸び、また切れる距離が2割減る。


 模型兵装相手と考えると、魔力を減らすのは得策ではないだろう。

 また魔力全開でも、あまり太い箇所は切断しきれずに刀身が食い込んでしまう恐れがある。

 改めて起動すればいいだけではあるが、その間動きが止まる事は留意せねばなるまい。


 また、魔力全開だと10回も使えば魔力切れを起こす。

 模型兵装を動かす分の魔力も考えると、5回以上は使えないものと考えた方が良さそうだ。

 魔力切れを起こしそうになったら出来る事が無くなるので実験は終了、解散となる。


 魔術についてもう少し詳しく説明する。専門では無いので一般的に習う程度ではあるが。


 まず魔力。

 元を辿ると全ては輝きであったとされている。

 輝きが積み重なって現象になり、更にそこから積み重なって物質になる、と。

そして、複数の輝きに生命が混って生物となる。


 生物が動けるのは生命が混ざって柔らかくなったから。硬さ的なものではなく存在的に、だそうだが。

 生物は存在が柔らかいからか、自らを護る殻を作る。生きている間、他の存在と自分とを分ける為、肉体の表面に強く力を働かせる。


 魔力抽出器はその殻の表面を薄く削り取る。

 削られた殻は一瞬だけ周囲の、形を取る前の輝きを集めた後で急速に拡散していくという。


 つまり魔力とは、その殻を削りとったものとそこに引き寄せられた輝きの事で、正確には存在を存在足らしめる原初の輝きと生命の混合物である。


 現在、全ての生物は全ての輝きを内包していて、どの層が表れるかは分からないと言われている。

 人によって属性が違うのも、積み重なった輝きの丁度表面部分なのだと。


 大地も空気も水も炎も無ければ生きていけない人間は確かに全ての属性を持ち合せているのだろう。


 魔力を使い過ぎる、つまり殻が薄くなると己を守ろうと自己防衛反応が高まり、殻が堅くなりそれ以上削れなくなる。

 つまり魔力を出せなくなり、無意識下で殻を強化、修復し続ける為に、有り体に言えば疲れる。

 殻は一晩寝れば大体元に戻ると言われている。


そして魔術は理解量で威力が変わる。正確には使う魔術回路の大きさや形をどれだけ正確に記憶しているか、という話になるが。


 魔力は、抽出された時に強く思い浮かべた形に沿って流れながら拡散していくという特徴がある。

回路の形と噛み合えば無駄無く最高の効率を出す。噛み合わないと無駄が多くなり、最悪で回路の最後まで届かなくなり不発となる。


 拡散する前に魔力のみで回路図を描ければ術式として発動させられるだろうが、拡散して消えていく速度の方が圧倒的に早い為、魔術回路が必要になる。

 模型兵装を駈るのが難しいのもこの魔力の性質に因るところが大きい。


 そして抽出した魔力を保存しておく事は出来ない。

 それらの特性があるので、例えばそこらの動物を捕まえて魔力だけ搾り取る、とかは出来ない。


 ちなみに、古代機は必ずしも上記の条件に当てはまる訳では無い。

 現在より遥かに技術が進んでいた時代にはまた違う術理があったのだろう。

 真偽の程は定かでは無いが、模型兵装自身に意志があり乗り手を選ぶという話もある程だ。

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