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模型兵装  作者: 存在 竹刀
高等部入学
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追憶1

 西方大陸と東方大陸を隔てる海、その中間には足掛諸島と呼ばれる大小様々な島が存在する。


 足掛諸島を国土とするのはニフオーン王国。四つの大きな島ホーク・アイトー、フォーン・シユー、シーク・オクー、クィス・ユーと、その周囲に点在している小さな島々を支配している国である。

 諸外国からは傭兵王国と呼ばれている。


 その発端は、西方大陸東北部に存在するルオーシュア帝国が、領地拡大の為、前人未踏の地である東方大陸へ大規模な開拓団を送り込んだ事から始まる。


 西方大陸北部にはイオル・オプアという連合国が存在し、ルオーシュア帝国と隣接している。また大陸東部、中央部は海である為、ルオーシュア帝国は戦争を起こさない限り西方大陸で領土拡張が望めない。


 イオル・オプア連合国との戦争は禁忌に触れる可能性がある為に行えず、ルオーシュア帝国は海に…海を越えた先の島々、その更に先、東方大陸に活路を見出した。


 とは言え、それも簡単な事ではない。東方大陸は人類の有史以前から存在する凶暴な巨獣や竜等の『古の敵』の生息地であり、彼らは自らの縄張りを犯す輩には容赦が無い。


 西方大陸から船で直接乗り付けるには危険過ぎた為、開拓は東方大陸への足掛かりとなる…後に足掛諸島と呼ばれる島々から始められた。


 しかし、足掛諸島にはルオーシュア帝国にとって最大の誤算があった。

 伝説級の模型兵装が発見され、開拓団の護衛に雇っていた傭兵団の者が起動に成功したのだ。


 模型兵装。それは西方大陸に於いて一般的な兵器の名である。

 全長は人の4倍程で基本的に人型。背中にある搭乗口から乗り込み、自らの四肢を動かす意思と連動する事により、文字通り操縦者の手足となって動く。


 兵器ではあるが、その汎用性から戦争のみならず、建築、運搬などにも使用される為、比較的目にする機会は多い。


 模型兵装は性能で区別が行われる。

 使い込まれた中古や、安価に制作された廉価級。

 模型兵装の基準である一般級。

 将や貴族、裕福層が好む、素材から制作まで上質で纏められた、高い性能を誇る高級。

 最新鋭、採算度外視の実験成功機や、前史以前の文明の遺跡から発見される事がある英雄級。

 そして、英雄級の古代機の上位機種と言われる伝説級。失われた高度な技術で製造されており、現代の技術では傷付ける事すら適わない、とまで言われている。


 現在、大国と呼ばれる国々はその全てが伝説級を擁している。伝説級を有するが故に大国と呼ばれる、と言い換える事も可能だろう。


 前文明が、西方大陸全土を当時の人口の9割とほぼ全ての技術、記録諸共焼き払い崩壊してからおよそ1000年。絶大な能力を有する伝説級だが、実際に戦争に用いられた例は少ない。


 800年程昔、西方大陸北西部にて繁栄していた2国が激突。

 互いに伝説級を投入した結果、2国の総面積を越える巨大な爆発穴と、中心にて破損した2機の伝説級のみを残して2国は消滅した。爆発穴は現在、湖になっている。


 その件以降も、各国が領土拡大に力を入れていた現史初期には伝説級同士の激突が何度かあったが、その全てで大規模破壊が起こった為、戦争に伝説級を持ち出すのは禁忌とされている。


 故に現在、小競り合いは発生するが大規模な戦争は起こらず、概ね平和と呼べる時代である。


 それがルオーシュア帝国がイオル・オプア連合国との戦争を避け未開拓の島々から東方大陸を目指した理由だった。


 しかし足掛諸島で発見された伝説級と、その眷属の英雄級4機を手中に収めたニフオーン傭兵団が他の傭兵団や護衛対象であった開拓団を従えてニフオーン王国として独立、建国を宣言した為、ルオーシュア帝国の拡張計画は長く停滞する事になった。


 ニフオーン王国は建国から99年経過した現在、足掛諸島全域を支配下に置き、東方大陸の最西端にいくつかの開拓村の設立に成功しており、ルオーシュア帝国や西方大陸南東部を支配するシーイナ皇国と幾度かの小競り合いはあったものの、繁栄の道を歩んでいる。

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