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37話 気遣い


 再度、歩き始めて数分、ルージュたちが襲われていた現場に着いた。


「やっとここまで来たか・・・」


「私はちょうどこの辺りで、攻撃を受けて気を失ってしまったんですね」

 アマリージョが自分の血が残った地面を見て言った。


「そうよ。それで私はこの辺りで・・・アマリが気を失ってもうダメだと。気がついたらクロードがいたのよ」


「そうだね。あの時は間に合ってよかったよ。本当にギリギリだったからね」

 そう言いながら、改めて二人が無事だったことを喜んだ。


「クロードさん。そういうばその時倒したオグルベアの魔石はどうしたんですか?」

 アマリージョが不思議そうに聞いたきた。


「そう言えばそうね・・・私もその後、気を失っちゃったし。どの位の大きさだったの?」


「え? 大きさ? 知らないよ。あの後は二人とも気を失ってたからそれどころじゃなくて・・・そのまま洞窟まで帰っちゃったし」


『私は覚えていましたよ』


「じゃ教えてくれても良かったのに」


『あの時は魔素の毒で二人とも死にかけてましたから、魔石のことは言いませんでした』


「じゃまだ、その辺に転がってるかな?」


『飛んでいったのは、ルージュさんの左手の方向、約10メートルです』


「ちょっと待ってて。私が見てきてあげるから」

 ルージュはそう言うと、かけ足で魔石を探しに行った。

 遅れて、アマリージョと二人でルージュの後を追いかける。

 すると

「あったわよー、ほらほら、見て~」

 ルージュが魔石を手に持ち、それをこちらに見せるように振っている。

「見てよこれ。3センチくらいあるわ」

 近づくと、ルージュは興奮しながら魔石を見せてきた。


「こんなに大きい魔石を見たのは初めてだわ・・・姉さん、ちょっと私にも触らせて」


「ほらっ」

 ルージュが魔石を投げ渡す。

 アマリージョは、魔石を受け取りまじまじと眺めている。

 ルージュは他にも何か落ちていないか探しているようだ。


「そういえば、あの魔物・・・オグルベアだっけ? あの感じで魔石は3センチくらいなの?」

 ヒカリに確認してみる。


『そうですね。あの時の感じた魔素の量と比較しても、このくらいだと思われます』


「あの時は不意打ちで蹴り食らわしてやったけど、実際正面から戦っても勝てると思う?」


『おそらく問題ないと思います。ただ、素手でということであれば多少怪我をする可能はあると思います』


「怪我はするのか・・」


『ネズミの時のような重傷ではなく、ひっかき傷がいくつか・・というくらいですね。魔石の影響で身体能力が上がり、身体そのものが強化されていますので、アマリージョが受けた傷と同じ攻撃を受けた場合でも、あそこまでの傷にはならないとは思います。おそらく毒も耐性があるので問題ないと思いますし。あくまで魔素量の比較からの推論ですが・・・』


「マジで? やっぱり結構強くなったのかな・・・自覚ないけど・・・」


『はい・・・強くなりましたよ。実際正面から戦ったらどうなるかは分かりませんが、多少傷を負っても我慢出来る程度で、動けるとは思いますから、ネズミの時のようにはならないですね』


「・・・じゃあ、あのマンションを襲ったオーガにも勝てる?」


『魔石の大きさから考えると勝てるとは思います。ただ、魔石の大きさでは勝っていても、玄人(クロード)さんは8センチ、おそらくオーガは5〜6センチです。さすがにオグルベアのように一撃でという訳にもいかないでしょう。それに魔素量で勝っていても、そもそも持っている戦闘能力自体はオーガのほうが優れているでしょうから、こちらの攻撃がなかなか当たらずに、一方的にやられてしまうという事も考えられますね』


「分かってはいたけど、魔素の量だけで簡単に勝てるわけじゃないのか・・・」


『あくまで目安ですね。ちゃんと武器や防具を装備して、それが使いこなせれば、戦闘能力にも差がなくなりますし、そうなれば魔素が大きい玄人(クロード)さんが有利だと言えますね』


「武器か・・たしかにちゃんとしたものが使いこなせたらいいかもな。ついでに魔法も・・・」


『・・・・・・』


「なんか言ってくれって・・・無言は時に人を傷つけることもあるんだから」


『・・・・明日も晴れるといいですね』


 ――気遣いって、する方もされる方も難しい・・・


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