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幕間-18 「さやと里帆」

 私の名前は成田さや。

 現在17歳で、この世界に来ていなければ高校2年になる。

 友達の村上里帆と、バイトをしていたカラオケ店に行き、そのまま一緒に帰ろうと店を出たところでこの世界に転移してしまった。


 この世界に来てからは、すぐに現地の人に保護をされて、そのまま外は危険だからと、どことも分からないお城みたいな建物に匿われて、そのままそこでのんびりと過ごしていた。

 とは言っても、行動範囲は決まっているし、尋ねてくる人はいつも同じ。

 そしてなんと言っても食事がまずかった。


 それでも生活するのに苦労はなく、たまにいろいろな品物を見せられて使い方を説明したり、何か良いアイデアはないかといろいろな生活の知恵などを聞かれた。

 後は持っていた教科書の中身について、あれこれと質問をされ、いくつか答えるとお礼にといって、甘さが抜けたボソボソのお菓子をもらえたりするのだった。


 囚われた姫ってこんな感じだったのかなって思いながら、日本では見られないようなきれいな星空を眺めるのが好きだったが、正直、死ぬほど暇だった。

 楽しみと言えば、一緒に生活をしていた里帆と、いろいろな思い出を語るくらい。


 そんな中、私達と同じように日本から来たという男が、この世界に国を作ったという話が舞い込んできた。

 なんでもその国では、私達のような転移してきた人間を受けているらしい。


 私たちを匿っている国の人も、私達をその国に送りたい意向があるようで、その国について知りたいことはなんでも教えてくれた。


 そして、私達2人はほかの日本人とともに「サンシャイン」へと移ってきたのだった。


 この国を作ったという玄人(クロード)という人物は、顔は中の上って感じで、とても国を治めるような人物には見えなかったけど、私達と一緒に日本に帰りたいと言ってくれたことは、希望が持てたし、毎日の生活も頑張ろうとそう思えた出来事だった。


 そんな私と里帆は、今サンシャインの街を出て、街道の分岐にある温泉街「アタミ」という街に来ている。


 この街に来た理由。

 それは働くためだ。


 なんでもこの街は新しく整備されたばかりで、新しい住民を募っている最中。

 しかも新築で作られたばかりの温泉宿には、新しく配置された執事110号、111号、112号さんがいて、従業員はすべて新規募集。

 そして住み込みで賄い付きという好待遇。

 給料もちゃんと出るし、何よりも温泉宿の食事は溝口レシピというレシピを使っていて、それが美味しいのなんのって・・・


 サンシャインで生活をしたままでも、溝口さんのご飯は食べさせてもらえることになっていたけど、周囲の渡り人の人たちが働き始めるとなんだか悪い気がして・・・


 それで里帆と二人で「アタミ」で働くことにしたのだ。


 今はとても充実している。

 3日働いて2日のお休み。

 里帆と同じシフトで働くから休みの日も遊べて楽しい。


 しかも街が日々大きくなっていて楽しすぎる。

 今は休みの日に、街の発展会議というやつに参加して、いろいろなお店を作っていくためにアイデアを出したりして、本当に楽しい生活を送っている。


 つい、先日は国王の玄人(クロード)さんが、同じ冒険者の会社の人たちと一緒に、アタミに2日滞在してくれた。

 街で一番大きいうちの温泉宿のVIPルームに泊まってくれて、仲居として私と里帆がお世話して、たくさんお礼も言えたので良かった。


 玄人(クロード)さんは、せっかくだからと言ってカレーの材料を出してくれて、それをなんとアイドルの桃子さんが料理してくれて。

 あのカレーの味は忘れられないし、ついでにサインももらって、私も里帆も桃子さんの大ファンになっちゃった。


 赤と黄色の姉妹はかわいいし、妹が連れていたちっちゃい妖精みたいのがかわいくて。


 携帯で写真も取りまくって、加工してメールを送り合ったりして。

 写真の加工は、特にエルフのお姉さんが気に入ってくれて・・・可笑しな顔にするたびに爆笑していた。

 最後の方はいろいろな耳を自分の写真につけるのが楽しいらしく、ずっと付き合わされた。

 中でも猫耳が気に入ったらしく・・・桃子さんに紙で猫耳を作ってもらっていたっけ・・・。


 玄人(クロード)さんたちは、サンシャインには戻らず、このまま南へ向かうとのことだった。


 戻るのはかなり先のことになるらしい。


 私達も玄人(クロード)さんたちが次に来たときに、ビックリするほど街を大きく発展させて、みんなを驚かせてやらないとね。


 あと少しでも日本を感じてもらえるように、執事さんたちとも話をして・・・


     ♣


 転移してからずっと、早く日本に帰りたいと思っていたけど・・・今、私と里帆はこの世界の生活を楽しんでいます。


 そしていつか帰ることが出来る日まで精一杯頑張ろう・・・と里帆と誓い合うのだった。



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