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183話 世界会議・終わる

 和やかな雰囲気で会議は順調に進んでいく。


 サンシャインの首都となる王都サンシャインから、街や村へと続く街道の整備の話。

 途中に作られる宿場町の話。


 そして、ブルクハントとの国境線の話。

 砂漠の国・デゼルランダへ続く陸路の整備。

 獣人の国・ティグリスへと渡る港の管理と交易の税金の話。

 南の諸島連合・アルチペラーゴとの交易再開の話。


 今回は帰ってしまいやりとりが無かったが騎士の国カヴァリエールと、今回来ていない魔王の国との交易が行われるはずの北の港について、どうしたら良いかも助言を貰うことも出来た。


 話を総合すると、カヴァリエールに対しては交易は喉から出るほどしたいことは間違いないはずなので、交易に対する税金を少し重めにした方が良いとのことだった。

 そして、あちらの国で「どうしてこうなった」という話になれば、そのうち正式に謝罪も来るだろうし、そうなったら他国と同じ条件で税金を下げてやるのが良いと。


 元々、ラインバッツ王子の国、カヴァリエールの国王は騎士道精神に溢れた素晴らしい人物らしいが、ここ数年病気がちで国の実務を3人の息子に任せているとのことだった。

 軍事は長男、外交は次男、そして内政は三男に。


 長男は騎士道一直線という人物で、正義感に溢れ、国民想いだが、融通が利かない人物。

 次男は会議の態度でも分かったが、地位に固執し、人をすぐに見下す人物。

 三男は、考え方が柔軟で才覚に溢れるが、騎士とはかけ離れた腑抜けた人物ということだ。


 俺もそこまで興味はなく、なんとなく流して聞いていたが、最近はクリチュート教会が様々な事に口を出すようになり、カヴァリエールにおける教会の権力が増しているということは少し気になった。


 ヴェールは特に何も言っていなかったが、教会の中もいろいろあるのかな・・・


 そして、会議の最後にはエルフの里についての話になった。

 各国ともエルフの里の品々は欲しいとのことだった。


 皆が皆、エルフの品を欲しがるので、そんなに大事なものが売っているのかと聞いたが、里から手に入るものは、万病に効く薬草に、やせると言われる薬、家で飼うと若返り効果があると言われる魚、ステータスがアップするという不思議なキノコ・・・日本でも夜中の通販番組に売ってそうな物ばかりだが、この世界ではどれも貴重な品だという話だ。


 とはいえ、エルフ族は【最後の日】と言われるこの世界の終焉についての調査を長年続けている種族で、その時が来たら必ずその力が必要だとも言われる種族だった。


 だから縁は大事にしたいらしい。

 だからこの世界の人たちを代表して、俺たちにエルフとの外交を頼みたい。


 ・・・要はそんな感じな訳だ。


 幸い、ルージュたちの母親がハーフエルフであり、父親は長年エルフと親交があった国の国王。

 そこは、ぶっつけ本番でもなんとかなりそうな感じではあるが・・・こればかりはやってみないと分からなかった。


 一応、各国の代表達には、出来るだけ頑張ってみるとは伝えたが、その前にサンシャインの整備も大切なので同時進行にやっていくということで話を終えた。

 とりあえずは勝手に森へ入っていく訳にもいかないので、エルフのS級冒険者とやらに連絡を取り、エルフの里への立ち入りの許可を貰ってから、エンハンブレのメンバー全員で里を訪問する、という段取りにきまった。


 時間的には、連絡を取るのに1カ月~4カ月、立ち入り許可から訪問までさらに1カ月程度・・・そんなスケジュールだ。

 なんでこんなにも時間がかかるかと言えば、エルフの冒険者が半年に1度くらいしかギルドに立ち寄らないため、居場所が分からないためだった。

 しかし、この件については王国のギルドが全世界のギルド支部に通達を出すことで、連絡が取れるし、連絡事項の内容に王国のギルドまで来るようにと、国王の連名で伝言を残しておけばこちらまで来てくるだろうとのことだった。


ヒカリの携帯・・・やっぱ便利過ぎだな。


     ♣


・・・そして、さらに時間が流れ、会議も終了の時間を迎えた。




「では、会議の議題としてはこれで終わりになるが・・・以上でよろしいか?」

ブルクハント王が、段落のついた所で会議の終了を告げた。

 誰からも意見は無く、このまま会議は終了となった。


「いや~今日は久しぶりに楽しかった。これもクロード殿のおかげだな」

 カラカウア大長がうれしそうに鼻息を荒くした。


「しかし、帰りはどうするか? さすがに馬車じゃ時間がかかるしな・・・教会が困るのは嬉しいが、教会がいなきゃ移動も出来んぞ」

 ご機嫌で話す大長に、トクガワ将軍が急に真面目な顔で話しかけた。


「おぉ、そうだったな・・・確かに・・・ちょっと困ったな・・・」

 カラカウア大長が、真顔に戻ってそう返答する。


「すみません。何の話でしょうか? もしかしてやっぱり俺、なんかマズイことしちゃってたんですね・・・」

 二人の会話が聞こえた俺は、急いで二人に近づき話しかけた。


「いや、マズイというか・・・そうだな・・・クロード殿は儂たちがここまでどうやって来たと思う?」

 話しかけた俺に、大長が逆に質問をしてきた。


「移動・・・馬車とかでしょうか?」

 分からないので思いついたまま答える。


「ま、普通はそうだな。だが私やトクガワ殿がいる海の向こうからは船も使わなくてならんので、とても連絡を貰ってから2~3カ月では、ここまでやってくることは出来なんだよ」


「・・・ではどうやって?」


「そう。そこで使われるのが飛行船というわけだ」


「飛行船!? 飛行船って空を飛ぶ、飛行船ですか?」

 この世界に空を飛ぶ物があることが信じられず、思わず目を見開いて聞き直してしまった。


「あぁ、その飛行船だ。その飛行船は渡り人の知識からかなり前に作られたという話だが、安全保障の観点から、現在所有しているのはクリチュート教会だけなんだ」


「教会が? ・・・飛行船を?」

 驚きと感心、不信感が同時にきた。


「そう。元々は布教のためと、厄災討伐のため・・・というのが建前だったかな」

「なるほど・・・そういうことですか・・・」

「だが、実際には騎士団輸送に使う事もあるが、各国への外交や、今回のように重要人物の輸送にも使用したりしているんだよ」


「輸送・・・あ、だから・・・」


「そう。気付いたか。だから世界会議に教会の連中が参加してるんだよ。妙に権力を欲するというかなんというか・・・我々も安全に世界中を移動出来るようになったため、教会には頭が上がらないことも多くなった。儂もトクガワ殿も・・・あの騎士の坊主もそうだが、全員教会の飛行船に運んでもらったというわけでな・・・だからこそクロード殿が言い返したときは・・・わははははっ今思い出しても腹がよじれるわい」


「でも、やはり私のせいで・・・結果的に迷惑かけちゃってましたね・・・ん? あれ、でも飛行船なんてどこに停まってました?」


「飛行船ならこの城の一番上に浮かんでおるよ。下からは見えないように魔法をかけておるし、前へ進むのも魔法だからのぉ・・・音もせんし、下から・・・特に国民で気付く者はおらんよ」


「でもそんな物があったなんて・・・でも私のせいで・・・飛行船には乗れなくなりそう・・・というか、もしかして先に帰っちゃたんですか?」


「あぁ・・帰ったみたいだ」

「まさか、儂らを置いて行ってしまうとは・・・はぁ・・・」

「こりゃ馬車で帰るしかないな・・・カラカウアも儂も、せめて港まで楽に行ければいいんだが・・・」


――ヒカリ・・・これ、俺らの馬車貸してやれないかね? なんか悪いの俺みたいだし・・・

『――そうですね。ここで我々の技術力を見て貰えれば・・・今後も言うことを聞いてくれそうですし・・・』

――いちいち言うことが本音過ぎて怖いって・・・そうじゃなくても悪いの俺みたいなんだから・・・

『――そうですか? そんな事あまり気にしないほうがいいですよ。でも、これでさらなる援助も期待出来るかも知れませんね』

――なんかヒカリ・・・裏方になってから性格の悪さが復活してきてる気がするな・・・


「えーと。トクガワ将軍に、カラカウア大長・・・もし宜しければウチの馬車使って下さい。普通の馬車よりも早いですし、安全で快適だと思いますから」


「おぉぉぉ、それはもしかして帝国と戦ったという馬車か?」

「はい・・そうですけど・・・」

「「おおおぉぉぉ是非とも!!」」


     ♣


 こうして会議は終わりを告げた。

 飛行船ない状態での帰国の問題も少し解決し、トクガワ将軍とカラカウア大長は喜んでいた。


 ついでに砂漠の国・デゼルランダのリヤール王も一緒に乗って帰りたいというので、まずは西の港までトクガワ将軍を送り、その後一度来た道を戻り、途中から南下して砂漠の国へ、そしてそのまま南の諸島連合へと続く港まで大長を送り届けることとなった。


 俺も一緒について行ってやりたかったが、サンシャイン国王としての街作りの仕事も多いということで、ルージュとアマリージョが修行がてら同行していくこととなった。

 2人の王と1人の大長は、ルージュたちの父親とも面識があったようなので、話にも困らないと思う。


 

 そして留守番の俺は、まだ連絡すら取れていないエルフのS級冒険者が現われるまで、桃子たちと自分の王国作りに邁進することになるのであった。


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