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オレは大魔王!!

ベッドわきの棚においた目覚ましドクロがカタカタとやかましく鳴っている。

「ふぁ~あ・・・」

ベッドから起き上がり頭をかく。

壁の柱時計は6時30分を示していた。

「ねみ・・・」

寝室の窓を開ける。

「うぅ・・・ハックション!!」

思わずくしゃみをしてしまった。轟音が上がり火球が飛んでいく。目の前に広がる城下町の一部が瓦礫の山と化していた。

「やべ・・・息吹ブレス出ちまった・・・」

すぐに階段を駆け上がってくる城爺しろじいの足音がした。

荒いノックの音がする。

「入れ」

「失礼します」

落ち着いた老人の声がした。

現れたのは腰の曲がっていないしゃんとした老執事。

「わり、くしゃみしたら息吹ブレスが出ちまって・・・」

「大魔王様、いったいいつになったら学習なさるんですか。くしゃみをするときは口を塞いでください」

「だーからごめんて」

城爺、名をフリントという。彼の説教が始まる前に寝室を抜け出さなければ。

そーっとドアの方に飛んでいく。すると寝起きで一番見たくない顔に出くわした。

「おはようございます、大魔王様、きちんとフリントの話をお聞きになって下さいませ」

「げっ・・・北魔王、クラウン・“アマイモン”・デッカード・・・」

執事服に銀髪頭、片眼鏡モノクルに竜の尻尾。

そして何より気に食わないのが城のメイドたちを魅了しているあのクソみたいな顔。あれのどこがイケメンなんだ。やつは四大魔王“アマイモン”兼執事長兼魔王組会計担当でオレの幼なじみ兼天敵だ。

クラウンはすました顔で言った。

「フリント、大魔王様にお灸を据えて差し上げなさい」

「これは執事長アマイモン様、おはようございます。今日の大魔王様の息吹ブレスの威力は格別でございましたから・・・」

オレは恐る恐る問いかけた。

「フリント・・・?」

彼は咳払いをして言った。

「いったい城下町の修復にいくらかかると思っているのですか!?大体あなた様は魔族の王!!その王たるあなた様が自分の臣民の家を壊してどうするおつもりですか!?」

ガミガミ怒鳴り散らされてオレは正座でただ、「すみません、ごめんなさい」と平謝りを繰り返すしかなかった。


やっとのことでフリントから解放されたオレはパジャマ代わりの黒いスウェットを脱ぎ近くの執事悪魔に洗っておいてくれと言って渡した。

そこから白いシャツに黒のベスト、そして黒いマントを羽織る・・・訳ではなく人間界の人気格安洋服店“シロクロ”のワイシャツにジーンズを身につけた。総額5000円以内だ。

そのまま城の食堂へ行く。

大きな扉を開くと食堂には四大魔王が揃っていた。

四大魔王とは東西南北を守護する魔王たちだ。

「よう、調子はどうだ」

東を守護し、風を司る東魔王“オリエンス”の名を冠する、リオ・“オリエンス”・ミリア。

彼女の特徴は緑色の縁の眼鏡に翠眼の持ち主、腰まである綺麗な銀髪。そして何気に巨乳だ。

「あら、大魔王様、おはようございます。今朝はドレスのコーディネートに手間がかかってしまいまして~。あ、でも調子はいいですよ~」

相変わらずおっとりしてる。

「パパ、おはよ」

「おう、おはよう。アオイ」

走りよってきた小さな体を抱き締める。

西を守護し、水を司る西魔王“アリトン”の名を冠する、アオイ・“アリトン”・ヤマブキ。

彼女はオレのことをパパと慕ってくれている。身長140cmのロリっ娘。碧眼と右目の白い医療用眼帯、青髪のツインテール。黒いゴスロリドレスを身につけている。とても可愛い。

ちなみに余談だが配下の中で一番可愛いという意味でオレはロリコンではない。断じて。オレの名誉のために言っておく。

シュボッっとジッポライターに火を点ける音がした。

「またタバコか、うまいか?そんなに」

「若造には分かんないだろうね。“デビルズ・キス”のうまさは」

「300年弱年齢が違うだけだろうが。若造って言うなよ」

「んじゃ、青二才」

「似たようなもんじゃねーか」

南を守護し、火を司る南魔王“パイモン”の名を冠する、シェリー・“パイモン”・ロゼ。

Tシャツを胸の下で結び大きな胸を強調している。愛用のジーンズは所々ダメージ加工が施されている。お腹が見えていてよく引き締まった体つきが分かる。正直目のやり場に困る。赤髪に赤眼、ポニーテールに赤い宝石のイヤリング。オレより10cmほど背が高い。

「紅茶です」

「ハイハイありがとう、じゃあさっさと消えろ」

北を守護し、地を司る北魔王“アマイモン”の名を冠する、クラウン・“アマイモン”・デッカード。

特徴はさっき述べた通りだ。

「消えるのは大魔王様の方ではありませんか?そのアンテナむしり取りますよ」

「オレのアホ毛は生まれつきだ!!何しても跳ねるんだよ」

そう言って紅茶に口をつけた。

「っなんじゃこりゃ~!!」

「あ、申し訳ございません。間違えて塩酸で紅茶を淹れてしまいました」

「殺す気か!!」

「はい」

とても爽やかな笑顔でヤツはそう言った。

「よーし、飯が終わったらぶっ殺してやる」

そう言ってサラダボウルからサラダをよそった。

「望むところです」

片眼鏡モノクルを指でくいっと押し上げながらヤツはそう言った。

みんな各々朝食をとりはじめた。

そしてこのオレは魔王のさらに上の王“大魔王”、サタン・“ルールブック”・ルシファーだ。

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