第12話 現れたもの
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第12話 現れたもの
「取り引き…物々交換と考えていいのか?」
実に魅力的な提案だった。いまいち使い勝手の良くないバットを、何か使えるであろう物に交換してくれるというのだから。
『うむ。神から授かった異世界の道具だ、それだけでも価値はあるし、その上オリハルコンで出来ておる。交換するならそれなりの物を用意しよう。どうだ?乗るか?』
「もちろん乗らせてもらう。その際には俺に選ぶ権利はあるのか?」
『もちろんあるぞ?これは取り引きだからな。』
良かった…まぁ、選べなくてもそれなりの物は貰えただろうけど。
「でもどうするんだ?まさか口頭で全部説明されるのか…?」
『いや、流石にそれは面倒だからな。我を鑑定してみろ、許可する。』
「…お言葉に甘えて。」
俺は今許可を出されるまで、鑑定を使う気が無かった。
なぜなら異世界モノで強者相手に鑑定を使うと、鑑定を使った事がバレたりするから。
よく分からないが強者はそういうものも察知出来るようになるらしい…
気を取り直して…鑑定。
◇鑑定◇
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ジェルド
魔物翡翠竜:ジェード・ハイドラゴン
LV136
HP38769
MP8543
攻撃力6713
守備力8939
賢さ298
器用さ118
【特殊能力】
飛行X
剛爪6
風魔法X
木魔法X
竜圧6
竜眼X
竜気8
【称号スキル】
嵐魔法3
言語理解5
アイテムボックス9
【称号】翡翠竜 風の上位竜 上位竜種 コレクター 五色竜
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強えー…賢さと器用さってあんまり上がらないのかね?魔物だから?光物に目がないと…カラスかよ。
「強いな…賢さと器用さってそんなに上がり辛いのか?」
『賢さと器用さは上位竜になってからでないと、全くと言っていいほど上がらんな。下位の竜種なんて本能だけで生きてるからのぉ…その点今回は我が相手で良かったと思うぞ?』
「あぁ…話の通じるやつで良かったよ。よろしく、ジェルド。それより交換の件なんだが…」
『よろしくじゃな、ケイトよ。アイテムボックス閲覧申請、と我に向かって唱えてくれ。』
「アイテムボックス閲覧申請。」
『アイテムボックス閲覧許可。』と、ジェルドが許可を出すと…
俺の目の前に鑑定の結果が出るのと同じ感じで、リストが出てきた。
ジェルド所有:アイテムボックス
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魔玉×385
魔珠×36
魔水晶×8
宝玉×60
竜珠×2
銀×200㎏
金×200㎏
金のティアラ
金のイヤリング
金のピアス
金のチョーカー
金のネックレス
金のブレスレット
金の指輪
王女のドレス
聖女のマント
聖女の杖
祈りの腕輪
王冠
王杖
王鍵
王剣
儀礼剣ノーラ
選定の剣
王城の隠し扉のカギ
魔鉄×140㎏
魔鋼×100㎏
魔銀×80㎏
魔金×70㎏
ミスリル×70㎏
アダマンタイト×60㎏
オリハルコン×60㎏
魔剣スロースルー
魔剣グラビトン
魔剣スワロー
魔剣カラドボルグ
魔剣グラム
魔剣ダーインスレイヴ
金棒
如意棒
・
・
・
・
etc…
「おい、これどこの国の財宝なんだ?」
『そんなの覚えとらん。』
そうすか…
さて、何にするか。魔剣スロースルーがよく分からないんだが…
「魔剣スロースルーってどんな剣なんだ?」
『魔剣スロースルーは刺突の呪いを飛ばす魔剣だな。あまり速い呪いではないが、どんなものでも貫通するまで止まらないという属性を持った呪いを飛ばす剣だ。』
貫通するまで止まらない…?それって動きが遅い魔物とか建物相手だったら最強じゃね?
『まぁ何か物を貫通したらそこで消えるのだがな。』
なるほど…ぶっ壊れだな。
欠点はあるにはあるが初見殺しが出来るレベルに壊れてるのでぶっちゃけ欠点って程でもない。
射線上に何か物を入れられて防がれてもどんどん貫通させちゃえばいいんだ。
でも金棒と如意棒がかなり気になる。
「金棒と如意棒についても教えてくれ。」
『金棒は装備者のステータスを1.5倍にする。如意棒は装備者の意思通りに伸びたり縮んだりさせられる。どちらもそれなりに使えるであろう武器だな。』
うーん…悩むなぁ。
金棒はレベルが上がれば上がるほど強くなるのか…
如意棒も伸び縮みが出来るだけでかなり使えそうだしな…
うーん…うーん。
『如意棒にしてみたらどうだ?金棒が欲しいならもう少し強くなってからまた何かと交換してやるぞ?』
「…?また取り引きしてくれるってことか?」
『そうだ。まぁ我が会いに行った時にしか応じられないがな。』
「そうか!それで十分だ!じゃあ如意棒と交換してくれ!」
『それは構わんのだが、何か近づいて来ておるな…』
「何か?探査。」ピピーン…
反応無し。
「俺の探査には引っかからないな。」
『あぁ、まだ遠くにいる。お前の探査では届かない距離だな。』
「こっちに近づいて来るって事はあんたを恐れてないって事か?」
『恐らくな…ただの馬鹿で力の差が分からんだけかもしれんが…』
「移動速度はどれくらいだ?」
『かなり遅いな…我を恐れないのがこんなに鈍いのか?』
「動きが鈍くて強めのやつ?サイクロプスとか?」
『サイクロプスは結構臆病だぞ?人間に狩られる事を知ってからは、森の奥深くに隠れ住んでいるくらいだ。』
「じゃあ竜相手に出てくる事はなさそうだな…」
人間よりはるかに強えもん。
そうこう考えている内に俺の探査にも反応があった。足音はその前から聞こえていたが。
「あ、引っかかった。…かなり遅いな…」
『足音はかなりするがな。』
足音からはかなりの重量がある事が何となく分かるくらいに大きい。
「これ大分デカイやつじゃないか?」
『我よりデカイだろうな…うーむ…この森にそんな魔物がいたか…?確かにサイクロプスはデカイが…』
ジェルドさんが思索にふけっている間に、その体と思われる銀色に煌めく腕がチラッと見えた。
「なぁ、あいつ銀色なんだけど。」
『銀色?ゴーレムか…?』
森の木々の中から現れたのは…
側頭部を歪めた銀色のゴーレムだった。
綺麗に丸く凹んでいる。
「あの凹み…俺が投げたやつ?」
『…おそらくな。やつに当たったのが我の方向に跳ね返って来たのだろう…』
「俺間接的にしか悪くないじゃん。」
『…よし!あいつを我の手助け無く倒して見せよ!さすれば金棒も進呈しよう!』
…イエーイ。ジェルドさん太っ腹ー。
対物最強の魔剣の存在を忘れた主人公。
読んでくださりありがとうございます。これからもよろしくお願いします。




