第10話 投球は計画的に
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第10話 投球は計画的に
“それ”はものすごい速さで飛んできた。
まさか食事中にそんなものが飛んでくると思っていなかった“そいつ”は回避が遅れ、体にダメージが入る。
『ぐっ!?誰だ!?』
“それ”が飛んで来た方向に意識を向けるが、何の反応も捉えられない。
『何もいない…?そんな…我でも感知出来ない距離から攻撃して来たのか…?』
飛んで来た“それ”に目を向ける。
“それ”は白い球体をしていた。
『何だこれは?かなり硬かったと思うんだが…』
“それ”は見た感じではあまり硬そうに見えない。
◇鑑定◇
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鑑定不可。
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(鑑定が通らん…爆発したりせんだろうな…)
尻尾を使ってチョイチョイと突いてみる。何の反応も無い。
手で持ち上げてみるとかなり硬く作られていた。
(やはり硬いな…我の鱗を抜けてダメージが入るのだからこれぐらいは必要になるか…)
“それ”には赤い縫い目のようなものがあったが、よく分からなかったのでとりあえず放置しておく。
(さて…我の知覚外から攻撃して来たものに会いに行くとしよう。)
“そいつ”は未だ感知出来ない襲撃者を見つける為に、空高く、翼を煌めかせ飛び立った。
☆☆☆☆☆☆☆
【ご主人。ここら辺で引き返さないと徹夜するハメにニャるかもしれないニャー。】
「マジ?流石に徹夜は勘弁だな…」
【そろそろ帰ろうニャ。ニャーはもう疲れたニャ。】
「じゃあここら辺でスキル試してから戻るか。アイテムボックス!」
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・金貨10枚
・銀貨10枚
・銅貨30枚
・オリハルコン製バット
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「オリハルコン製バット。」
手を軽く持ち上げるとピッタリそこに現れる。
「結構軽いな…鑑定は通るか?」
◇鑑定◇
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オリハルコンで出来たバット。長さ86㎝。重さ750g。強度は世界第2位。魔力伝達率も第2位。
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「でもバットって使い辛ぇよ…もう少し細くないと…でもこれでも補正入るんだよな。」
軽く素振りをしてみる。スイングスピードは約2倍程速くなっていた。
「早いけど武器として使うにはやっぱりちょっと太くない?」
【取り回しが難しそうだニャー。でも一撃で決めるのにはかニャり有効だと思うニャ。】
「ちょっと打ってみっか。球体創造!」
ポイッ…カキーン!!
打たれたボールはものすごい早さで飛んでいった。飛距離、球速が少しおかしな事になっていたが。
「おぉ。飛んだなー。球場だったら普通に場外だなー」
【きゅうじょう?場外?ニャんの事だニャ?】
ライムはただニコニコ笑っている。
(ライムは話についてこれてないか…)
「何でもねぇよ。次は探査4を試すか。」
自由時間になってからすぐ使った事があったが、あの時は訓練場を探すという目的があった為、そこまでしっかり検証していなかったからだ。
「探査開始。」
……ピピ、ピコーン。
自分を中心に約160mの波紋が広がり、地形・空気の組成・魔物の存在などを知ることが出来るスキルのようだ。
「……なるほど。スキルの射程内の事を調べる事が出来るって事だな?かなり使えるだろうな。」
【探査は常に張り続ける事も可能なはずニャー。それに使えば使うほどレベルも上がるしニャー。】
「じゃあ10秒に一回くらいにしとくか。まだMPはあるだろ。」
【ステータス見ればいいのにニャ…】
「俺は一気に見たいんだよ。さっきも3体引っかかったから狩りに行くぞ。」
そうして俺たちは魔物を狩るため森を進んだ。片手にバット、探査を頼りに。
結論から言おう。
「キノコ弱くね?いや、レベルは上がったけどさ。」
キノコは雑魚だった。出会い頭にボール投げて戦闘終了。
確かにボール一球で死ぬのは分かる。だが、あまりに動きが遅い。まず避けようとすらしていない。
そりゃ弱いわけだ。
「あんなの倒してもレベルが上がる不思議。」
キノコ3体を瞬殺して、今のレベルは15。
キノコ40体倒すと15レベ…まぁ分からないでもないかな。
「もう少し骨のある奴はいないかなー。」
探査を発動しても周囲には一つも反応はない。
「そろそろ帰るか…」
【ニャん。そうす……ご主人、ヤバいのが近づいて来てるニャ…。ヤバいニャ!見つかったら本気で危ニャいニャ!】
ライムは落ち着きのない様子でソワソワしている。
「ん?探査には反応無いぞ?」
「探査ニャんかには引っかからないレベルだニャ!いいから今すぐ逃げるニャ!」
どうもふざけている様には見えないので、言うとうり帰ろうとしたら…
『どこに行く?異世界人?』
振り返ったそこにいたのは、
ーー翡翠色の鱗を纏った竜だった。
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