第8話 スライムが倒せない
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第8話 スライムが倒せない
【あと100mでスライムニャ。】
「よし!よくやった!球体創造!」
俺たちは森をスライム求め歩き回っていた。異世界で初めての戦闘なのでいくら最弱で有名なスライムでも気を引き締めなくては。
ん?キノコ?俺はエリンギとエノキが好きです。
エリンギはベーコンと一緒に塩、胡椒で炒めるだけで美味いよな。
エノキはすき焼きとかn…
【ご主人!あと30mニャ!】
おっと、危ない危ない。とにかく俺はキノコが大好きだ。いいね?
(さぁ、来い!バッチ来いやぁ!)
ガサガサ…
来た!
そこに現れたのはスライムだった。確かにスライムだった。だけど…
(可愛い…これは殺せないよ…)
めちゃくちゃ可愛かった。じ○くじゅく円熟こうじ味○みたいな…?
(鑑定してみよ…)
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スライム
魔物
ランクG
Lv1
HP8
MP1
攻撃力10
守備力20
賢さ25
器用さ98
【特殊能力】
分裂4
変形8
悪食3
衝撃吸収9
【称号】秀才(魔)
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(この子賢さ高くね?秀才なんて称号ついてるし…さっき“拾った”キノコ食べるかな?)
さっき森の中で“拾った”キノコを前に置いてみる。
ゆっくりとこちらに近づいて来て…
“食べていいの?”と言ってるようにプルプル震えている。
「いいぞ!」と言うと
言葉を理解しているのか、雰囲気で察したのかキノコを体で包んでプルプル震えている。
透明だから分かったが、包んでから消化液を出しているらしくキノコの表面が泡を立てて溶けていた。
(食事シーンはあんまり可愛くない…でも可愛いな…)
既にテイムする気だった俺は魔法の天才のスキルの内の隷属魔法についての知識を引っ張りだす。
(なるほど、強制的な契約血縛させることも出来るが任意の契約の方が主従関係の構築に必要な魔力が10分の1ですむのか…)
「俺と契約して上位スライムにならないか?」
と、手を差し出す。
もちろん任意での契約の方を選ぶ。
すると…3本の触手が体から伸びてきて、俺の手を握った。
「ありがとう。契約!」
俺の手から光の帯がスライムに向かって伸びていき、スライムからも光の帯が伸びてきて、俺の腕に巻き付いた。
巻き付いたところに紋章の様なものが浮かび消えていった。
(ん?紋章?……契約紋ってやつか。)
知識を引っ張りだして確認したところ、契約によって創り出される紋章らしい。
よく確認するとスライムの核の表面にも契約紋が薄く見えた。契約は無事成功したらしい。
「お前の名前は今日から「ライム」だ。この名前だと進化しやすくなるんだぞ!」
ライムが喜んでいるのが契約紋を通じてなんとなく分かる。しかもプルプル震えているし。
(可愛い…これを殺せる人なんているのか?)
◇鑑定◇
スライム…最弱の魔物と言われている。生まれたての頃は愛らしい顔でマニアの間では高値で売買される。スキル【悪食】のレベルが上がると進化するのがアグリースライムに固定されるらしい。何かを食べるだけで進化するので、本当に生まれたてでないと可愛くない。
(なるほどな。人が殺しているスライムは醜いのか…ん?待てよ?キノコ食ったのに何でアグリースライムになってないんだ?)
「ジジー。何でアグリースライムに進化してないのか分かるか?」
【おそらく賢さが比較的高い事が理由だと思うニャ。ステータスの数値で進化先にも影響がある事はそれなりにあることニャんだニャ。】
確かに言われてみれば理知的な顔をしている。
「ってことはあまり悪食は上げない方が良いってことだよな。スライムって何が正しい食い物なんだ?」
【魔物の食べ物は基本魔力ニャ。もちろん肉とかを食べるやつもいるんニャけど、あれは獲物の魔力を取り込もうとしてるだけニャ。ニャから基本は魔力さえあればいいニャ。】
「そうか?じゃあ」
魔力を食べさせる為に手を伸ばす。そうすると触手が伸びてきて俺の手を薄く包みこんだ。
目を閉じて契約の時のように自分から光の帯が伸びていくようにイメージする。
目を開けてみると、契約紋が光っていて光の帯がライムに繋がっていた。これで魔力の供給が成功していると考えていいんだろう。
美味しいという感情が契約紋から伝わってきて、美味しそうに魔力を飲み込んでいるライムを見ていると…
【……人!ご主人!あげすぎニャ!もう進化し始めてるニャ!】
(なに!?もう進化だと!?)
いつの間にかライムの体全体が光っていた。その光は膨張と収縮を繰り返している。
だが、俺からの魔力は止まらない。否、止め方が分からない。
【このままじゃ魔力過多で命の危険ニャ!今すぐ止めニャい……ニャ?あれ?進化の為に魔力を消費してるニャ!これは上位進化と呼ばれる現象ニャ!】
(上位進化!?何それ!?止めないでいいの?)
「ジジ!結局止めないでいいのか!?」
【止めニャいでいいニャ!進化が終わるまで進化に必要ニャエネルギーを魔力で肩代わりしてあげてる状態だニャ!命の危険は無かったのニャ!】
(なんだよ、ビビったー)
と、安堵していると光が収まった。どうやら無事進化が終わったらしい。
光から出てきたのは更に可愛くなったスライムだった。
「ライム!また可愛くなったな!」と褒めると…
【えへへー、ありがとうごしゅじん!】
「ッ!?今頭に声が…」小学2年生くらいの声が…
【わたしだよー!こえはだせないけど、ねんわができるようになったのー!】
(なん…だと…。鑑定…。)
◇鑑定◇
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エルダースライム 「ライム」
魔物 異常個体
ランクC
Lv1
HP198
MP69
攻撃力113
守備力324
賢さ73
器用さ154
【特殊能力】
分裂5
変形X
悪食3
衝撃吸収X
念話5
貯蓄5
消化液6
【個体特性】
核移動
【称号】超秀才(魔) 強スライム 異常個体 上位進化者
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(ランクCになっとる…異常個体ってなんだよ…ジジより強くなってるし…核移動ってスキルはなんだ?)
核移動…核を移動させるスキル。核を切られそうになると自動で発動する。MPがある限り何度でも発動可能。
(自動で避けてくれるって神スキルじゃねぇか。他の所に当たっても大して痛くないんだろうし。)
「ライム!一気に強くなったな!」
「うん!ごしゅじんのおかげー!ありがとうー!」
「どういたしまして。」
こうして、異世界での初めての戦闘は幕を閉じた。
【ニャーが負けてる!?これは由々しき事態ニャ。】
1匹の黒猫を不安にさせながら。
たおせーないよぉー。読んでくださりありがとうございます。




