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雪きつね  作者: 長月李穏
6/7

自然の脅威

他の里の人たちが避難をした日の夕方、小さく何かが裂ける様な音が何度も響いたそうです

しかし残っていた人たちは皆、気のせいだと思い込もうとし何時も通りに過ごしておりました


そして残った全員この夜は同じ家屋の中で休もうと話をしていたところで、外から強く戸を叩く音を聞きました!

囲炉裏の周りに揃っていた老人たちは顔を見合せていると、妄りに戸が開かぬ様にと斜めに立ててあった支え棒が叩く勢いで倒れ戸が開け放たれました!

そして彼等の誰もが知らぬ白い着物姿の少女が入って来ると大きな声で言いました!


『さほど(とき)もない!

此方(こなた)の力も強くはない!

残ったそなた等は此方と()やれ!』


昼間より夜の方が当然寒さは厳しいというのに、少女はそんな中を強制的に老人たちを(やしろ)へと連れて行ったのです


社までの道筋には当然の様に暗く、そして雪が積もり滑りやすくなっておりました

しかしこの時だけは社まで青白い狐火が煌々と灯り、社までの道のりを照らしておりました!

足腰の弱っていた老人たちにとって社までの短い距離を歩くのにも一苦労に感じられはしたものの、現実味の無い光景に足は自然と前へ進んだのだといいます


社に着いた老人たちはそのまま社の中へと促され上がると、忘れていた疲れにドッと襲われ座り込んでしまいました


息を調えている間中、彼等がずっと聞かないフリをしていた何かが割ける様な音は響き続けておりましたが、社の戸を閉める頃にはゴウゴウという音に変わり始めていた事には誰も気付いておりませんでした


老人たちは自分たちの長く住んだ里が気にかかり、戸の隙間から里の方向を覗き込みます!


すると白い雪の波が社のみを避け下へと流れ、家や畑を飲み込み押し流していくのが見えました!


社にいた誰もが茫然自失となり、無言のままその自然の脅威を見詰め続けました……

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