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雪きつね  作者: 長月李穏
2/7

童とキツネ

あと何日もしないうちに雪も降りだしそうな、そんな日の事でした

里で木こりをしている家の一番下の子供は、この冬は出稼ぎへ行ける働き手とは見なされず里で留守番をする側に割り振られておりました

里の外へ行った親兄弟と共に行けなかった事に傷付き、人の少なくなった里を見下ろす様に建つ社で膝を抱えて拗ねておりました


(わらべ)や、(わらべ)如何(いかが)した?』


そんな時、小さな鈴を転がす様な声の問いかけが少年の耳に届いたのです


「誰かいるのか?

姿を見せろ!」


少年は驚きながらも勢いをつけ立ち上がり、周囲を見回しながら勇ましい声を上げました!


(わらべ)や、今行く、暫し待て』


再び声が聞こえてくると、社の裏から小柄な少女が出てきたのです

しかし彼女がただの少女ではない事は一目瞭然でした

彼女には雪の様に白い三角の耳と同じ色の尻尾が付いており、何処か楽しそうに動いておりました



“キツネやタヌキを見掛けた時は、荷物や供に注意をしなさい

キツネやタヌキは化けて惑わし騙しては、騙された者を笑ってるのだから……”



里に住まう語り部の老婆が子守り代わりに聞かせてくれた物語を思い出し、少年は思わず彼女に尋ねていました


「キツネよ、オイラを化かして騙す気か?」

『化かす?騙す?何故(なにゆえ)じゃ?』


ぴくぴく動く耳が伏せられて、白いキツネの少女は首を傾げます


『寂しい幼子(おさなご)化かしても、此方(こなた)が何を獲られよう?

孤独なそなたを騙しても、此方に何も(とく)はない

それより孤独なモノ同士、共に手をとり遊ばぬか?』


両親や兄姉たちに置いてきぼりにされた幼い少年は、例え里で留守番をしている年寄りたちに可愛がられてはいても寂しかったのでしょう

キツネの少女の提案に寂しく拗ねてた少年は暫く考える素振りをしていましたが、最後は2人で手を繋ぎ笑いあいました

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