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九条桜真
僕、九条桜真は俗に言う『霊感のある人間』であり、幼い頃からことごとく幽霊が見えるというだけで酷い目に遭わされてきた。
彼らは一度でも目を合わせてしまうと、僕には自分の姿が見えているのだと認識し、家までだってついてくる。いや、憑いてくる。
いつだったか、ゲイの男の霊に憑かれた時は一晩中僕の布団の周りをうろつかれ、恐怖で震え上がり寝不足になった事だってあった。
そんな事があってから、僕は中学に上がってからはずっと彼らを見えないふりをした。
そうすると彼らはみるみるうちに僕への興味を失い、僕に憑いてまわる事もなくなり、僕の生活は随分と落ち着いた。
だからこれから先の人生もずっと、彼らを見えないふりを続けていこうとそう思っていたのに。
それなのに僕は、どうやら決定的なミスを犯してしまったらしい。