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自慢じゃないが、勝ち組です!  作者: めへめへさん
三つ葉女子中学生編
7/39

新入生でも勝ち組 そのさん

前世に通っていた男子校の生徒会室は埃っぽく、ごみごみしていて、

男くさかった。


ノックをしてから開けた扉の向こう

三つ葉女子学園の生徒会室は、広く、綺麗に整理されていた。

部屋の中心には、カフェテリアに置かれているような3脚の丸テーブルと

いくつもの椅子が配置され、高等部と中等部の生徒が何人か座り

ティーカップを片手に談笑していた。


「おっ、来たね来たね 佐久間さん

さっそく自己紹介行こうかね。ほのか~来たよ~」

高等部3年の襟章を付けた、ミディアムボブのお姉さんが

こちらに気づき、大声で迎えてくれる。


奥の間仕切りから、小鳥遊先輩が出てくる。

「これ、佐久間さんの生徒会の襟章ね。」

少し茶色がかった、胸元まである長い黒髪。先の方でカールしている。

肌は、温かみのある自然な白さで、髪の毛や紺色のセーラー服と

上手くつりあいが取れており、健康的な魅力を感じる。

少し垂れ気味で優しそうな瞳と、にこにことした口元があわさり、

まるでたんぽぽの原っぱにいるような明るさを、周りに振りまいていた。


小鳥遊先輩が俺にすっと近づき、襟章を止めてくれた。

彼女の長めの髪が、俺の手の甲をくすぐる。う~ん 良いにおいだなぁ。

「わたしは、小鳥遊ほのか。小鳥遊って難しいから、名前の方で呼んでくださいね。」


生徒会は、会長、副会長、書記2、会計、広報、参議3 という内訳で

運営されている。参議は、中等部の各学年の代表だ。


時刻は既に昼近くになっていたので、

みなの持ち寄った料理をつつきながら、会食形式で自己紹介と

生徒会の仕事について教わった。

自由だな~、高等部の方は。中等部のほうは自販機ひとつ無かったのに。


小一時間ほど談笑したのち、お開きとなった。

みなは、帰宅したり、部活にいったりするそうだ。

各部活では、今後の新入生勧誘準備の大詰めをするらしい。


「りっちゃん、今日はこれからおひまですか?」

帰ろうとすると、ほのか先輩に尋ねられた。

「はい、空いています。なにか、生徒会のお仕事ですか?」

「ええ、私とデートしましょう。」

ほのか先輩がキラッとウィンクしてくる。

「ほのか~ 冗談はやめとけよ。りっちゃん 真っ赤になってるぞ。」

最後まで残っていた副会長に突っ込まれる。

そこまで赤くは無いはずだ、色白だから目立っているだけで。

「あら、りっちゃんかわいい。でも、ちゃあんとデートですよ?

校舎の中ってだけで、2人で歩くのですもの。」

「まぁ、たいがいにな~。お先」


ほのか先輩と校舎を歩き、おおまかな土地勘を覚えこむ。

高等部校舎、中等部校舎がここの敷地に並んで立っている。

短大の校舎は、この敷地内には無く、電車で30分ほどのところにある。

中等部、高等部の校舎を合わせると2つの学校に匹敵するサイズであるため、

少し歩き疲れてしまった。


「りっちゃん お腹空きませんか?」

「少し、減りましたね。」

「一回りしたら、生徒会室でお菓子でも食べてから帰りませんか?」

「行きます、行きます。」

これで空腹から解放される。そう思ったとたん、お腹が可愛く鳴ってしまった。


あちゃー 前世(おとこ)なら別に構わないんだけどなぁ。

ほのか先輩がくすくす笑っている。

少し照れくさくて、視線をそらした瞬間、ほのか先輩が急接近してきた。


至近距離に入りこまれる。近い、近い、

ほのか先輩のシャンプーの香りが鼻腔を刺激し、髪の毛が制服の肩口にかかる。

「動かないでね。」

吐息が顔をくすぐる。


唇に、何かが当たる感触がする。

その感触は、唇を正確に一周すると離れていった。

同時に、ほのか先輩も俺から離れていく。


「フルーツフレーバーのリップクリームは、お菓子に入りますか?」

にこにこしながら問いかける、ほのか先輩に、俺はどきどきしていた。


生徒会室で食べたお菓子の味も良くわからずに帰宅した。

完全に、彼女のペースに飲まれてしまったなぁ。強敵であった。

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