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自慢じゃないが、勝ち組です!  作者: めへめへさん
四堂高校編(共学校)
37/39

プールでも勝ち組

自慢じゃないが、俺は幼稚園の頃は水泳クラブに入っていた。


なんか、最近本格的に自慢ネタが無いな。

少しは泳げるんだぞ と。でも、ガチで泳ぐ機会なんて人生では無いよな。

「タイタニック」になったら、多少泳げても関係なさそうだし。



7月だ。夏休みに入った。

今日は、志野ちゃんと優衣ちゃん、恵と遊びに行く。

近場に新しく、大きなプールが出来たのだ。

ウォータスライダー、流れるプール、波のプールなど、各種勢揃いだ。


「へろう、ビューチフルレデース」

待ち合わせ場所にやってきた優衣ちゃんは、謎の言葉で話しかけてきた。

「ひさびさ~」「髪伸びたねぇ」

優衣ちゃんは、高校に入ってから髪を伸ばし、長めのポニーテールにしている。

志野ちゃんは、胸に栄養が偏ったらしく、高校に入ってからかなり成長している。

みんな、高校生になって変わったなぁ。こうやって時々会うと、変化に驚かされる。


「ねぇねぇ、彼氏出来た~?抱きついちゃった人とはうまくやってる?」

毎回、優衣ちゃんに聞かれるんだ。志野ちゃんも興味津津でこっちを見てる。

「あぁ、佐野?彼氏じゃないよ」軽く答えておく。

「じゃ、お姫様だっこの人は?」こんどは志野ちゃんが尋ねる。

「え~、なんでそれを知ってるのかな?」2人に言ったつもりは無いんだけど。

「恵ちゃんが写真くれたよ。あの服可愛いよね~」横で恵がうなずいている。

ミスコン後、校内新聞にお姫様だっこの記事が写真つきで、でかでかと掲載されたのだ。

どうして、表彰写真じゃなくて、そんなのを選ぶかな。

おかげで、学校中で「付き合っている」と勘違いされた。

実際は『告白直後に、即時キャンセル』なんだけどな。


早速着替えて、プールサイドに行く。

優衣ちゃんは黄色いビキニ。志野ちゃんは白の花柄ビキニ。

いやぁ、胸の格差社会ってあるんだね。志野ちゃんの成長には負けた、完敗だよ。

「じゃ、ビーチマット借りてくるね」

じゃんけんで負けたので、俺がビーチマットを借りに行く。

せっかく流れるプールがあるんだから、ビーチマットで流れておかないとね。


レンタル受付に行く途中、どこかで聞いたような声が聞こえてきた。

「うぷ、うげ、やめろ抱きつくな田中」

「佐野くん、僕泳げないんだよぉ、うふふふふ」

「おい、へんなとこ触るな」

ビーチマットの上で、田中と佐野が抱き着いた恰好のまま、流されていた。

2人とも、マットの上で揉み合って半ケツになっている。

坂田が助けようとしているが、彼も巻き込まれてやがる。

こりゃ、どこかに今野もいるかもな。

俺は出来る男だから、見なかった事にした。


レンタル受付でビーチマットを借りて、電動空気入れで膨らませる。

いやぁ、電動空気入れって楽だよね。

一人でしゅこしゅこやるのかと思って、少しブルーだったんだ。

結構大きめのビーチマットを持って、みんなの元へと戻る。

てこてこ歩いていると、いきなり後ろからマットが引っ張られた。


「ねぇねぇ、俺らと一緒に遊ばない?」「持ってってあげるよ」

うげぇ、変なナンパ男、2体もゲットだぜ!

進化したら、いかしたイケメンとかにならないかな~。ならないよな。

モンスターボールに入れて、そのまま廃棄したい。

「えと、友達が待ってるので、離して下さい」

「じゃ、友達も一緒にあそぼうよ~」

このまま、みんなのところに戻るのはヤバイな。

背に腹は代えられないし、半ケツ王子のところに誘導するか?

でも、半ケツの奴紹介するのは、 いろんな意味で嫌だなぁ。

そう悩んでいたら、ふと日が陰る。誰かがそばに来たようだ。

「佐久間さん、遅いから、手伝いに来たよ」

そこにいたのは、今野だった!やれば出来る子の今野だ!助かった。

今野は、ナンパ男達より頭ひとつ背が高い。

彼らからビーチマットを取り返してくれた。

「みんな待ってるぜ~ 速く行こう」今野がダメ押しの一言。

「なんだよ、男付きかよ」「行こうぜ」

ナンパ男は逃げ出した。ザザザザッ。


「助かったよ~今野くん」

「いやいや、姉ちゃんが迷惑かけてるからさ、これくらいはしないとね。

持っていってあげようか?」

「お願いできるかな。また絡まれるといやだしさ」

今野と2人で、みんなのもとに戻る。

「ただいま~」

「お帰り~って、あれ 今野くん」「クラスメート?」

双方を紹介する。

「今野くんが居るってことは、みんなも来てるの?」

鋭いな恵。向こうで半ケツ晒してたぞ。

「あぁ。4人で来たんだ。3人とも、その辺でひと泳ぎしてるはずなんだけど」


「離せ、田中」

「坂田!海パン脱げてる!脱げてる!」

「佐野、ちょっと落ち着け、目立つから叫ぶな」

どんぶらこっこ~どんぶらこっこと大きな桃、

じゃなくて、半ケツ王子と全ケツ眼鏡が流れてきましたよ。

あ、坂田は今は眼鏡かけてないか。

「きゃ」志野ちゃんが顔を赤くしながら、違う方向を向く。

「ねぇ、あの人、りっかちゃんと一緒に写真にうつってた人に似てない?」

優衣ちゃん、鋭いね。その通りだよ。

「ううん、知らない人」しれっと答えておく。他人ダヨ?

「全く、恥ずかしい野郎がいるもんだな」ナイスフォローだ今野。

「え!?いやあれ、さか『さぁ、ウォータースライダー行こうよ!』」空気よめよ、恵。


俺は、引っ張るようにみんなをウォータースライダーに引っ張っていった。


後日、聞いた話だと、今野は俺たちと別れた後、彼らを助けに行ったのだが一足遅く、プールの係員に彼らは拘束され、放り出されたらしい。

おかげで、我々女子4人は、プールを十分に満喫できた。

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