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自慢じゃないが、勝ち組です!  作者: めへめへさん
四堂高校編(共学校)
34/39

手芸部でも勝ち組

自慢じゃないが、俺は手先が器用だ。


子供のころからプラモデル大好きだったからな。

今世では女の子だったので自重した というか買ってもらえなかったが。



高校に入学してから1か月。GWも過ぎ、5月に入った。

この1か月の間に、既に2人の生徒に告白された。

これだけなら、もてる という事で済むのだが、相手が悪い。

坂田と今野(姉)だ。

もしかして俺は、深刻な女子力不足なのでは無いだろうか。

だから、坂田のようなネタ男子や、女子にもてるのではないか。

女子力アップのために手芸部に入部はしたが、女子力の高そうなお手本が欲しい。

志野ちゃんのような。

布団の中で、そんなことを悩んでいるうちに、いつの間にか寝ていた。


男の体に戻った俺が、猫耳メイドの服を着ている夢を見た。

最低な夢見だった。寝過ごしており、気分は最悪だ。

駅から学校まで頑張って走る。

スカートで走ると、余計に体力を使う。

5月の陽気もあって、体が火照ってきた。

なんとか、朝のHR直前に、教室に滑り込んだ。


「はぁ はぁ、はぁ。なんとか間に合ったぁ」

「おはよ~。遅かったねぇ 寝坊した?」「珍しいね」

アリサと恵が出迎えてくれる。

「寝過ごした~。もう暑いね」

上着を脱いで、リボンを取って、ブラウスのボタンを1つだけ外す。

ここが女子校ならもっと外してぱたぱたしてるとこだが、共学でやると変態だからやらない。

まだ、少し余裕があるので、8X4のお世話になってきた。

朝から汗臭いって、さらに女子力を下げそうだからな。


休み時間。アリサと恵に、声をかけておく。

今日は手芸部でお菓子作りをするのだ。

「アリサ、今日手芸部の調理班に行って、何かお菓子を作るつもりなんだけど、

部活、何時ごろに終わる?持ってくよ」

「さすがりっか様。今週はプールの大掃除だから、早めに終わるよ。

ちょっとだけ泳いだら栓を抜いちゃうから、5時過ぎには終わるかな」

5時か、ちょっと遅くなるかもしれないな。

「焼きあがりが間に合うかなぁ?水泳部が終わったら、調理室にきて待ってて」

「あいよ~」


放課後。今日は3時30分に授業が終わる、部活日だ。

四堂高校手芸部は、小物班、服飾班、調理班、工芸班の4つの班に分かれている。

好きな時に、好きな班で活動できる自由さがあり、男子の部員も少なくない。


調理班の班長は「差し入れダヨ~」で有名な2年生の鷹司やよいさん。

いつもにこにこした、少しぽっちゃり系の先輩だ。

「差し入れ」を武器に各地にファンが多いらしい。今野の従姉だったりする。

工芸班の班長は、3年の一条光先輩。

外見は『船大工』。筋肉で覆われた、いかつい体つきをしている。もちろん男。

初めて工芸班を見学に行ったとき、部屋を間違えたかと思った。

手芸部にいるとは思えないような(外見の)人材だった。

工芸班では、木工細工や金属細工、ガラス細工を作っている。

シルバーアクセサリーや手彫りの木工細工、ガラスの小物など、文化祭では好評(かねづる)だ。

小物班の班長は、3年の二条さくら先輩。

部長におされて影が薄いが、実際影が薄い。

服飾班班長は、2年の近衛まどか先輩。

変態とえろおやじを足して、1で割ったような人だ。

いつか、放送禁止な事をしでかすに違いない。


今日の部活は調理室に直行。調理班の活動も参加自由だ。

ただ、決まりは一応存在し、友人や彼氏といった部外の相手にあげるためには、事前の登録と材料の持ち込みが必要になる。

バレンタインデー前には、結構込み合うらしいな。

抜かりなく、2人分登録しておいた。アリサと恵のぶん。いちごと俺は部員なので登録はいらない。

俺は出来る男だから、遅刻はしても、材料を忘れるようなミスはしない。



本日は、スイートポテトを作ります。

電子レンジでサツマイモをチンしてこねこね。バターとお砂糖を入れてこねこね。

なめらかになったら、適当な形に成形して、卵黄を塗る。

みんな、いろんな形を作ってるな。俺は定番のいも型にしておいた。

オーブンプレートのすみに、作ったスイートポテトを並べていく。

他の人が作ったのを見ると、定番のイモ型が多数。丸い形や星型もある。

可愛いハート型は、誰かが彼氏に持ってくのかな。

東京銘菓『ひよこ』にしか見えない形もある。

今は可愛いひよこでも、焼いたらスズメになると思うんだがなぁ。

京都名物『五重の塔』にしか見えない形もある。

そういえば、近衛先輩が建造してたな。

高さは10センチくらいだろうか。

どう考えても、【炎上】以外の結末が見え無いぞ?誰か教えてやれよ……


オーブンに皆が作ったスイートポテトを入れる。200度で予熱済み。

加熱すること10分。なんか、焦げくさくなってきた。

鷹司先輩がオーブンを覗いている。

「まどか、まどか~」

「なんだ、やよい。もう焼けた?」

「うん、燃えてるヨ~」

あ、黒い煙出てる。だから、急遽オーブンを2台にしたんだね。

近衛先輩用と、他の人用で。


加熱十数分で、スイートポテトは綺麗に出来上がった。

ひよこは予想通り、スズメに成長した。

五重塔は予想通り、上半分が灰になった。

いちごと俺が作ったスイートポテトは少し型崩れしたけれど、

ほくほくに焼けていておいしそう。


焼きあがりを待っていたかのように、アリサと恵も合流したのでみんなでおやつにした。

初めて作ったスイートポテトは、なかなかの味だった。

「なんか、焦げくさいけど、どうしたの?」

「ちょっと、焦げちゃってね」

たぶん、真実を言っても、誰も信じないだろうな。


「今度は、大阪城にチャレンジだ」

「二次元にしたほうがいいヨ~」

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