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自慢じゃないが、勝ち組です!  作者: めへめへさん
四堂高校編(共学校)
29/39

親睦旅行でも勝ち組

自慢じゃないが、俺は温泉好きだ。


湯上りに、浴衣に羽織でのんびり涼みながらのビールは最高だ。

朝、昼、晩と、一日に3回は入るね。



四堂高校の新入生は、入学早々、4月中旬に親睦旅行に行く。

一泊二日でキャンプ料理&温泉旅館で温泉満喫 という催しだ。

どこかの家庭サービス向けのパック旅行をGW前に予行練習している としか思えないが。


親睦旅行は班の8人単位で行動する。

学校からバスに揺られ、各地の風景観光をした後、キャンプ場に到着。

ここで、夕食の『カレーライス』を作る。同じ釜の飯で親睦を深めるのだ。

だが、我々B班には鋼の調理師(あいあんしぇふ)こと、今野が居る。

今野の手にかかれば、キャンプ場すらレストランと化す。

彼の指示のもと、B班は料理の材料を手分けして持ってきていた。

しかし、この学校、何で旅行にクーラーボックスの持ち込みがOKなんだろうな。

「自主性を大事にする」と言ってたけど、何か間違ってないか?


他の班は、先生に教わりながら、飯盒でご飯を炊いたり、カレーを作っている。

B班は、今野に教わりながら、インド料理のフルコースを作っている。

といっても、下ごしらえは今野がやってきてくれているので、俺たちは

ナンをこねて焼いたり、サラダを盛り付けたり、カレーを温めなおすだけだが。


前菜として、グリーンサラダ。新鮮な野菜にさっぱりとしたドレッシング。

次に、スパイスのたっぷり効いた、タンドリーチキンとシシカバブが大皿に並ぶ。

メインディッシュのカレーは、キーマカレー(辛口)

ほうれん草ときのこのグリーンカレー(中辛)

ベジタブルカレー(甘口)の3種類。

焼き立てのナンが切り分けられ、バスケットにたっぷり詰まっている。

食べざかりの男子用にターメリックライスも用意されていた。

デザートにはヨーグルト。さらに、飲み物は、保温水筒からチャイが出てきた。

女子向けを考慮し、野菜多めのローカロリーなのが今野の見えない気遣いだ。

食事に関しては恐ろしいほど女心を読む男なんだよな。今野は。


後日、『ホスト班伝説』の一つ「キャンプでフルコース」として語り継がれる。

ちなみに、この後「持ち込み」を行う生徒が続出、食材は持ち込み禁止となった。



「あ~良い温泉()だった。それにしても、飯美味かったな~」

浴衣で腕まくりが似合う女子高生 黒木アリサ。 がたいが良いからだろうな。

「ベジタブルカレーの作り方、今野くんに教えてもらっちゃった」

甘口のカレーしか食べなかったロリ系少女いちご。こっちは、浴衣がだぶだぶ。

「私は、グリーンカレーが驚きでした」

恵は、髪の毛を束ねて持ちあげている。うなじが見えて色っぽいな。

俺たちは、キャンプの後、宿泊場所である温泉旅館に来ていた。

当然、旅館の部屋は男女別。女子だけで温泉を満喫してきたのだ。

男子は、どっかそのへんにいるだろう。

インド料理のフルコースは、とても美味しかった。なので、少し食べ過ぎた。

運動しておきたいところだな。


「おっと、危ない」

どこからか、坂田の声が聞こえてくる。

行ってみると、そこには温泉旅館でありがちなマッサージチェアが並んでおり、

その真ん中に大きな乗馬マシンがあった。

B班男子一同は乗馬マシンで遊んでいた。男子も浴衣姿。温泉上がりなのだろう。

こっちに気が付いた佐野が手を振ってくる。

「よぉ、風呂上がりか?」

「そうだよ。それ、面白そうだねぇ」

「佐久間もやってみるか?」

服装は浴衣と羽織だが、下はちゃんとキャミソールとホットパンツを履いている。

ちょっとやってみるか。

裾を気にしながら乗馬マシンにまたがり、スイッチを入れる。

かたかたかた と軽い音をさせながらマシンが動きはじめる。

「インナーマッスル鍛えられてる?」

「よくわからないなぁ」

「じゃ、エンペラーモードにしよう」

横から田中が手を出し、自爆ボタンのような赤いスイッチを押す。

すると、突如マシンの駆動音がガガガガという激しい音になり揺れが大きくなる。

体がぶぁっと宙に浮き跳ね飛ばされそうになる!必死になってバーにしがみつく。

「うきゃぁぁぁ 怖い怖い怖い。アリサ、助けて~~~」

「りっか!」アリサが手を伸ばしてくれる。

こういうとき頼りになるなぁ、このアニキ(あねご)は。

伸ばされた腕の中に、無我夢中で飛び込み、力いっぱい抱きつく。

どさくさに紛れて胸を揉まれた気もするが非常時だ。仕方あるまい。

「う~、びっくりした」

目を開けると、何故か俺は佐野にしっかりと抱きついていた。

無我夢中だったので、近くにいた佐野に抱きついてしまったのだろう。

浴衣は胸元が大胆にはだけ、脚も露わで『見せられないよ』状態。

佐野は真っ赤になっていた。

「ほらほら、りっか大丈夫かぁ」「大丈夫?」

アリサと恵が気を利かせて、浴衣を治してくれる。

坂田と今野は俺の方を見ないようにしながらさりげなく壁になる位置に移動する。

前世でも感じたが、こいつらチームワークいいな。最高だよ。

「あー、ごめんな、俺が誘ったから」

赤くなりながら、佐野が謝る。

「ううん、大丈夫。助けてくれてありがとう」

ラッキースケベなところは許せんが、助けられたのだからしょうがない。

「いやぁ、楽しかったナァ。田中くんも、エンペラーやるよネ?」


彼が、何かに、目覚めるまで、俺は、乗馬マシンを止めない!

その後、田中は乗馬マシンエンペラーモードに、えんえん掘られ続けた。

彼から妙な声が出始めたところで、俺はみんなに止められた。

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