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自慢じゃないが、勝ち組です!  作者: めへめへさん
四堂高校編(共学校)
28/39

班分けでも勝ち組

自慢じゃないが、俺は2回目の高校生活を始めようとしている。


いやぁ、本当に自慢にならないな。留年したように聞こえるぞ。

転生をしてしまった為に「2回目」になるだけだ。

青春時代の、後悔する苦い思い出を払拭できるいい機会だと思おう。


2回目の入学式。

校長の話が妙に短いのも、副校長がハゲなのも、担任がヅラなのも前世と変わらない。

あのヅラは、台風にさらわれた事がある。いや、よそう。今後確認できることだ。


入学式の後、1年2組に向かう。

クラスは32人。これが、8人ずつでABCDの4つの班にわかれる。

俺はB班だ。B班は、教室の後方廊下側一帯がホームポジション。

B班のメンバーは、俺の予想を超えていた。


佐野、坂田、今野、黒木、櫛木、そして俺。この6人は前世と変わらない。

俺が女になっていることを除けば。

残り2人は、俺の中学からの同級生、黒野恵。

そして、田中という男子。この田中は俺と同じ、『転生者』らしい。

恵が背後霊を感知した。便利な能力だな。俺も欲しいぞ。

彼女が描いたデッサンだと、平凡そうな、眼鏡をかけた中年女性が奴の前世だ。

こちらから手の内を明かすことも無い。

向こうがボロを出すまで、とりあえずは放置だ。


新入生達は『班分け』を確認し、班の中で軽く歓談。そのあとは、全員の前で自己紹介だ。

自己紹介は、あいうえお順。

櫛木、黒木、黒野(恵)、今野、坂田ときて、俺の順番になる。

自慢じゃないが、俺は可愛いよ?

前世では30後半を過ぎてから、生活習慣にかなり気を使っていた。

おかげでメタボとは無縁だった。その生活がくせになり、子供の頃から実行している。

その結果、いつの間にかモデル並みのスタイルになった。


佐久間律花(さくまりっか)です。

わたしも黒野さんと同じ、三つ葉女子から来ました。よろしくお願いします」

「黒野さんとはどういう関係ですか?」

女子校出身だからって、そういう発想は良くないよ?たまに居るけどさ。

「クラスメートです」

「どうやったら、そんなにさらさらな髪になるんですか?」

「椿油使いました」

「どうやったら、そんなにスタイル良くなるんですか?」

男子がそれ聞くのか?ボケろってことなのか? 

「エコナ油使いました」

「彼氏居ますか?」

「いません」

「彼女居ますか?」

「いません」

「付き合ってください」

「いりません」


あ~疲れた。席に戻ると、入れ替わりに佐野が出て行く。

アリサが出迎えてくれる。

「お疲れ、りっか。もてる女は大変だぁ」

アリサも美人なのだが、身長が高すぎるんだよな。

脱いだら(筋肉が)すごいけどな。

「う~、痩せてるのに、出るとこ出ているのはずるい」

いちごは、俺の胸をガン見してくる。そして触ろうと手を伸ばす。

「やめときな いちご。男子が困るだろ。なぁ、坂田っち」

困るのは俺なんだが。そして、佐野の自己紹介聞いてやれよ。

「可愛らしくて良いんじゃないかな」

坂田が爽やかに返してくる。お前、巨乳にしか興味ないもんな。


「ところで、ひとつ聞いて良い?

佐久間さんと黒野さんは、どうして、四堂高校に来たのかな?」

鋭いな坂田。俺と恵は中高一貫のお嬢様女子校からの受験進学だ。

「お医者さんになりたいから」と恵。

「海外留学の制度が整っているから」俺が答える。

この四堂高校は、エリート進学校の名に恥じず、多種のバックアップ体勢が整っており、

本人が望めば1年次から、医者志望向けの特別対策講座や、夏休みの短期留学、

海外の大学への留学あっせん、政治家志望向けの政経塾まで行っている。

俺も前世では、いろいろ世話になった。

「そうか。俺は法科志望だ。お互い、頑張ろうな」

どうにも爽やかだな、お前。恵がちょっと勘違いして赤くなってるぞ。


そうこうしている間に、佐野の自己紹介は終わった。

結構長かったのは女子からの質問が多かったからだ。

前世でのB班は、俺、佐野、坂田、今野、アリサの5人で「1年2組ホスト班」と言われたくらいに女子にもてた。ラブレターやバレンタインのチョコは数知れず。

実際のところ、俺とアリサは付き合っていたし、佐野は恋愛にはお堅い性格。

坂田は巨乳女子にしか興味が無いし、今野も女姉妹に囲まれて育ったせいか女子に一線を引いていたので、浮ついた話は出なかった。


佐野と入れ替わりで田中が壇上に上がる。

「未来から来ました」的な、変な事は言わないでくれよ。

俺の心配をよそに、彼は普通の自己紹介をしている。

容貌もそれなりに整っているので、なかなか女子受けしているようだ。

「ここだけの話なんだけどさぁ。時々、あいつの視線感じねぇか?」

佐野が苦虫を噛みつぶしたような表情で後ろを振り返り、俺に訪ねる。

「ん~ 特には感じないかな」そう答えて、改めて彼を見る。

壇上の彼は質問をしてくる女子にはにこやかな笑顔だが、こっちを向くときだけ、少しニヤついているような気がする。

美少女暦十数年ともなると、ニヤついた視線で見られることも多々ある。

だが、対象が俺ではないような気がする。

俺のすぐ近くの席にいるのは、佐野か坂田だ。彼らが視線の先に居るのか………

そう考えた時、全てが解ったような気がした。名探偵はこういう感覚を大事にするのだろう。


『ヤツは、腐女子だ!』

佐野も坂田も、顔立ちはかなり整っている。もしかして、狙われているんじゃねぇのか?

「うわぁ………」俺は、彼に「引かれる」ものを感じた。

とはいえ、今の俺は、女だから何の問題も危険性もない。

心の中の「黒い俺」が、ひゃっほう と、男子の不幸に踊りだす声が聞こえた。



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