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自慢じゃないが、勝ち組です!  作者: めへめへさん
三つ葉女子中学生編
25/39

男子校でも勝ち組

自慢じゃないが、前世の俺は男子校出身だ。


男子校のことは、良く知っている。

彼らの妄想、彼らの行動。かつて、俺もたどった経験だ。

懐かしさもあるが、思い出すと恥ずかしくなる過去の歴史もある。


俺は、今、男子校に来ている。

三つ葉女子では、姉妹校である大葉学園(男子校)との間で交換授業を行っている。

その交換生に俺が選ばれた。

美少女の外見と男子校経験を持つ、精神年齢38(+13)歳の俺が、だ。

あざとく美少女を演じてやるぜ。小童ども、首を洗って待っていろ!



中学2年生。

この時期の男子は、食欲性欲厨二欲の3欲で成り立っている。

では、大人の男はどうか?と聞かれると、結局同じにしか思えないが、

自制心はきちんと育っているはずだ。


男子校に着くと、そわそわした空気が流れている。

「あれ、佐久間さん どうしたの?」

いきなり優衣兄に声をかけられた。そういえば、この学校だった。

時折、戸田優衣ちゃん家に遊びに行くので、もう顔見知りだ。

「戸田さん。おはようございます 交換生で来たんです」

「そっか、佐久間さんが来たんだ。2年生うらやましいなぁ」

優衣兄よ。怪我をしたくなければ、長話しないことをお勧めする。

彼は周囲のきつい視線に気がつかず、調子にのって俺に話しかけ、

そして消えていった。教室に戻ったら大変だろうな。


「はじめまして。佐久間律花(さくまりっか)です。短い間ですがよろしくお願いします」

可愛く可愛く挨拶をする。今日の髪型は、男子受けするポニーテールだ。

さすが男子校。女子への反応が素直。一部無反応っぽいのもいるがそれはきっとアレだ。

「佐久間さんは、空いている席に座って。教科書はとなりの人に見せてもらって」

真ん中あたりの空いている席に座る。

となりの男子におじぎをしておく。若いっていいな、真っ赤になったよ。


授業中、視線を感じる。無意味に髪をいじってみる。

男子校生って、基本シャイなんだよな。女免疫が無いから。

とはいえ、そうでもない奴もいる。

「佐久間さん、彼氏とかいるの?」

「居ないです」(にこにこ

「好きなタイプは?」

「何事にも頑張る人かなぁ」(にこにこ

選択式のエロゲやってる気分になってきた。なんで俺はフラグ建設してるんだっけ?


次の授業は体育でマラソンをやる。

俺は見学。着替える場所も無いし、そもそも体操服持ってきていない。

先生からは「校舎内でヒマつぶしてていい」と言われたけど、せっかくなので見学に行った。

マラソンのコースは、校舎の周囲とグラウンドを3周。およそ3キロ強。

スタート地点には、既に男子たちが集まっていた。

「よーし、タイムを計るぞ。成績に加算するから頑張れよ」

「はーい」「うーす」「たりぃ~」

気合が入ってねぇなぁ。ここはいっちょひと肌脱ぐか。


「みんな~、がんばって~」(はぁと

チアガールのように軽くジャンプしながら、可愛く両手を振ってみた。

出来心だった。その時の俺は、この後の惨事を予想していなかった………


すると、火がついた数人がスタート直後から全力ダッシュ。

そのダッシュに全員が引きずられ、かなりの速度で校舎裏に走って行く。

長距離走ではあり得ないスピードだった。

きっと校舎裏で死んでるぜ と思っていたら、先頭集団が猛スピードで周回して、

スタート地点の前を通過していく。

「かっこいい~ みんな頑張れ~」(はぁと

アクセルを踏んだようにみんなが加速していく。手を振ってくる奴もいる。

先頭集団の中で、1人が遅れ、しゃがみ込んだ。さすがにばてたのか?

あ、吐いた、吐いたよ、アイツ。

そこまで全力で走る必要ないよね?ゲロ吐くまでは誰も期待してないよ?

あわてて、先生が介抱しに行った。下口くんっていうんだ、彼。

彼は吐きながらも走り出そうとして、先生に止められた。

体中、ゲロまみれになってるぞ。二人とも。

「佐久間、保健室に連れてくから、ストップウォッチ頼む」

先生に、ストップウォッチを渡される。

ゲロくんは、先生の肩をかりながら、泣く泣くリタイア的なポーズをしていた。

違うよね?それ違うよね?


ずるっ、どてっ、がすっ と背後から妙な音が聞こえてくる。

「うわっ、ゲロだ」「誰だよバカ野郎」「口に入った」

ゴキブリほいほいの如く次々と男子がゲロに滑って転倒していく。

さらに転倒した男子に、他の男子がひっかかり、グラウンドは地獄と化していた。


後続集団は、これどうすればいいんだろう という顔をしていた。

先頭集団も、このまま走って良いのか、という顔をしていた。

とりあえず、みんなで団結して掃除をした。


放課後、先生に呼び出され、あまり男子をけしかけないよう、釘を刺された。


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