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自慢じゃないが、勝ち組です!  作者: めへめへさん
三つ葉女子中学生編
17/39

旅行準備でも勝ち組

自慢じゃないが、俺は泳ぎが得意だ。


前世では、保育園の頃からスイミングスクールに行っていた。

30を超えても、運動のために月に2回は泳いでいた。

今世では、小学校に上がるときに辞めてしまったが。


7月に入ったある日の事。

その日も俺は、水着の着替え中に襲ってきた優衣ちゃんとじゃれあっていた。


「そだそだ。みんな、夏休みひま?うちのお祖母ちゃん家に来ない?

すごく大きいから、みんな泊まりにきても平気だよ。」

「へぇ、何処に住んでるの?」

「伊豆~。温泉もあるし、海水浴もできるし、最高だよ。」


中高一貫校の中学1年生。

勉強は山場を迎えておらず、部活動も大きな大会に出場できるほどでは無い。

夏休みは、これといったイベントも無く、みんなヒマになる。

そして、我々の伊豆旅行が決まったのだった。


優衣ちゃん家は、夏と正月に一族が伊豆に集まる。一族の総人数なんと18人!

お祖母ちゃんを家長とし、子供が3人兄弟で、その奥さんも居る。

3人兄弟は長兄(伯父)3人、次兄(優衣パパ)5人、末弟(叔父)3人。

優衣ちゃんは、次兄の子供、5人兄弟の真ん中にあたる。

この孫たち合計11人のうち、女の子は優衣ちゃんしか居ないため、

お祖母ちゃんの大のお気に入りなんだとか。


「お兄ちゃんの友達も来るからさ、バスを借りてみんなで行くんだよ。」

伯父一家は元々伊豆に住んでいるので、優衣ちゃん一家と叔父一家、

あわせて12人+友達が、二十人超のレンタル小型バスで向かうらしい。

まるで修学旅行。すさまじいスケールだ。

「働かざるもの食うべからず。お手伝いしてもらうけどね。

宿泊費、食事代タダだし、目の前が海だから、いっぱい遊べるよ。」

そいつはいいなぁ。かなり安くすみそうだ。

まぁ、さすがに手土産くらいは持っていくけどな。



そういった会話をした、次の土曜日の昼過ぎ。

我々4人は、デパートに集合しています。

今日のお題目は、

「祖母ちゃんへの手土産購入」「体育祭でのクレープ清算」「水着選び」

の3本となります。


まずは、手土産。

優衣ちゃんの前情報から、甘いもの、それもチョコレートが好きというので、

GODIVAのトリュフにしておいた。ある程度日持ちするから良いよね。

好みがはっきりしている人は、こういうとき楽しい。選びがいがあるからね。


そして、クレープ。

デパートのフードコートでは、季節のおススメフルーツを使ったクレープ屋が

今日も女子を惹きつけています。

律「定番のいちご生クリーム」志「定番はチョコバナナでしょ?」

恵「わたしは、ブルーベリーお願いします」優「むむむ、悩む」

恵と俺は、借り物勝負に勝ったので奢ってもらえるのだ。

頭をよぎる、鬼嫁弁当。いや、もう忘れよう。クレープが苦くなる。


優「いちごも~らい」律「くぅ。一口いかれた、じゃチョコバナナをぱくっと」

志「あ、あ~」恵「ブルーベリーたべる?」志「うん。ありがとう」

みんなで食べるとデパート屋上のクレープ屋でも極上に思えるから不思議だ。

しかし、冷静に考えると、38歳のおっさんがやっていいことじゃないよね?

いや、考えるのをやめよう。今度はクレープがしょっぱくなる。



最後は、水着売り場にやってきました。

小学生の頃は、お袋の趣味である、ふりふりひらひらだったけど、

中学でそれはまずいような気がするんだ。


「そういえば、今日は優衣ちゃん静かだね?ビキニビキニって騒ぎそうなのに」

「いつも、女子があたしだけだからさぁ。ちょっとビキニは恥ずかしいなって。

でも、今年はみんなで着るのならやるよ!」

やんないけどな。


ふぅむ、しかし、悩む。

どれにするか?ってのもあるのだが、最近、思考まで女子化している気がする。

派手なネタ系水着を見ても、興奮よりも呆れる感情が先に来る。

ちょっと前世(おとこ)視点で、みんなの試着室覗いてリハビリしておくか。


まず、優衣ちゃんは、黄色と黒のストライプで、タンキニってやつだな。

スポーティな感じが彼女にぴったり。このまま元気な娘に育ってほしいなぁ。

次に、志野ちゃん。ピンクの花柄フリルつきワンピース。

彼女は、ちょっとだけぷよちゃんなところもあるが、あと何年かすると女性らしい丸みとなり、男子から「そばにいてほしい娘」として人気がでるだろうな。

最後に、恵は白い肌に紺色のワンピースが・・・って、スクール水着みたいだな。

これはこれでマニアはいるんだろう。俺には良くわからんけど。

結局、中1女子の水着姿じゃ、あんまりリハビリにはならなかった。


「り~っちゃん。お買いもの?」

この声は、ほのか先輩かぁ。買い物の時は良く会うな。下着のときといい。

ほのか先輩は淡いピンクのシフォンワンピースに白い肌とふくよかなバストが最高

前世(おとこ)視点だとドキドキしてくるな。顔が赤くなってきた。

「えぇえ、友達と水着を選んでるんです。ほのか先輩は?」声が少し裏返る。

「予備校に行くところ。通りがかったらりっちゃんが居たから声かけちゃった。

時間もあるし、迷ってるなら選んであげようか?」

「お願いできますか?」

ほのか先輩のセンスは信用できるもんな。下着のときもそうだったし。

「りっちゃんはスタイル良すぎてやせ気味だから、こんなところかなぁ。」

オレンジの花柄ワンピースにパレオ。サイズは、たぶんあってるんだろう。

「試着してみますね。」

早速着てみる。パレオってどうやって巻くんだ?浴衣の帯とはちがうもんな。

ほのか先輩に教えてもらいながら巻いてみる。完成。

「おぉ。かあいい」「似合ってる~」

みんなに褒められると照れるなぁ。これに決めよう。

鏡の中には、可愛らしいオレンジの水着を着た、ほっそりとした女の子。

ちゃんと出るとこは出ていて、少年雑誌のグラビアで上位に食い込めそうだ。


ファッションセンスって、女子には大事なんだな。学んでおかねば。

でも、高校まではコレでいけるだろ。 


そう思うこと自体が、まだまだ女子化していない証拠 であることに、

俺はこの時、まだ気が付いていなかった。

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