体育祭準備でも勝ち組 (feat.志野)
自慢じゃないが、私は運動が得意じゃない。
小学校では、かけっこはいつもビリ。
運動会のときに1等賞になったら貰える赤いリボンは、一度も貰ったことが無い。
でも、1度だけ、5年生のときの借り物競走で、3等賞の緑のリボンをもらえた。
それはいまも宝物として、机の引き出しにしまってある。
今日は6月1日、制服が夏服に変わる日だ。
この夏服が、わたしが三つ葉を選んだ理由でもある。
白地のセーラー服に、襟やスカーフが緋色。スカートも緋色に白のストライプ。
鏡に映った自分が、とても可愛く見える。でも、りっかさんはもっと可愛いんだろうなぁ。
「おはよう」挨拶をしながら、1階のリビングに降りる。
父はもう出社しており、母と兄しかいない。
「あら、しのちゃん。今日から衣替えだっけ?念願の制服、似合ってる、似あってる。」
「そうかな ママ。ありがとう、どう、お兄ちゃん?」
「お、おぅ、似合ってる と思うぞ。」
中学3年の兄は少し顔を赤くして答えると、さっさと登校してしまった。
なんか、そういう態度されると、こっちまで恥ずかしくなるよぉ。
学校につくと、優衣ちゃんが既に着席していた。
「オハヨ~」「おはようございます。朝練?」「そだよん」
「今日から夏服ですね。わたし、この制服が目当てだったので、うれしくって。」
「夏服、可愛いで有名だもんね~。できれば、スカート丈ももっと短ければいいのに。」
「え~、それだと、見えちゃいそうで、ゆっくり出来ないですよぉ。」
「ブルマ履けばいいんだよ~。だってさ、ミニスカートなんて若い時しか履けないんだから、
今のうちにやっておかないとね。だから膝上20センチ!」
優衣ちゃんは、相変わらず。
ところで、膝上20センチってどのくらいだろう。ふと自分の脚を見る。
(10センチがこのくらいよね。だから、20センチはこのくらい・・・・って、
これはダメダメ、絶対履けないよ・・・・)
「おはよう。」「オハヨ」「おはようございます」
恵ちゃんが登校してきた。恵ちゃんも、ちょっとミステリアスな美人さんなんだよなぁ。
「恵ちゃんは、膝上20センチのスカートって履ける?」
「私は色気が無いから、無理。」
「違うよ。色気があるからミニを履くのではない、色気を作るためにミニを履くのだよ。」
(あってるような、間違ってるような・・・・?)
「おはよ~。何話してたの?」
本命のりっかさん登場。学校指定の灰色のカーディガンすら、絵になるなぁ。
「オハヨ~。」「おはようございます。」「おはよ。」
「スカート丈について。やっぱり、膝上20センチかなと。」
「それは、優衣ちゃんが脚綺麗だからだよぉ。わたしは肌が弱いから見せられない。」
こないだ、肌荒れしちゃったのだ。甘いもの食べすぎたかなぁ。
朝のホームルームの時間。
「今月は体育祭があるぞ~。怪我をしないよう頑張るように。」
そういえば、体育祭があるんだっけ。体育苦手だからやだなぁ。
でも、お嬢様学校だけあって、あまり熱血な人がいないから楽。
「400mリレーを希望する!」
あぁ、ここに熱血な人がいたね。優衣ちゃんは陸上部だもんね。
「でもさ、陸上部はリレー禁止だよね?」
「あ、そうだっけ。じゃ、みんなで騎馬戦!」
「いやぁ、それはちょっと止めたい・・・」
この4人で騎馬戦やったら、一番体の小さな優衣ちゃんが上で、
わたしか、りっかさんが下なんだろうなぁ。
「りっかと恵ちゃんが組むのなら、あたしがしのとペアね。」
考え事をしていたら、りっか恵組に対抗して、ペアで借り物競争希望になっていた。
「勝ったペアが、負けたペアに、クレープを奢ることにしよう。
そうしたら、みんなで遊びに行けて、目標にもなるからいいよね?」
「いいよ~」「負けません」「う、うん、わかった。」
優衣ちゃんの元気を分けてほしいなぁ。
今日の授業の1時限目は体育。
毎回、優衣ちゃんがりっかさんの胸を揉みにいき、そしてやり返される。
りっかさんは、スリムなのにでるとこ出てて羨ましいなぁ。悔しいから、わたしも参加した。
体操服に着替えて、校庭に出る。
「うぅぅ、ブルマで、りっかさんと並びたくなぁい・・・」
りっかさんの身長はわたしと同じくらい。だから、体育の授業で身長順に並ぶと彼女の隣になる。
だが、腰の位置では彼女の方が、かなり上にくる。脚が長すぎなんだよねぇ。
男子みたいにジャージにしてほしいよぉ。
そして、迎えた、放課後のホームルーム。
無事、希望どおり、借り物競走になれたのだ!
「さっそく、借り物の練習をしよう!」
せめて、二人三脚のほうを練習のほうにしようよ、優衣ちゃん。
 




