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自慢じゃないが、勝ち組です!  作者: めへめへさん
三つ葉女子中学生編
13/39

スクールカウンセラーでも勝ち組

自慢じゃないが、おれは精神的に強い。


いろんな交渉事をくぐり抜けてきた。

無茶をいうクライアントとの折衝や、達の悪いお役人の横やりなど、

いろいろな妨害をくぐり抜けてきた。

その精神力が、今、試されようとしていた。



「みんなも知っていると思うが、この学校には、スクールカウンセラーが居る。」

この三つ葉女子学園では、海外の姉妹校でも行われているカウンセラー制度を、

国内でも早い段階から取り入れている学校だ。

高等部と中等部に各1人、資格保持者が常駐している。

だが、国内でもまだ珍しい存在であるため、相談しに行く人はあまりいないらしい。

その事について、担任が朝のホームルームで、カウンセラについて話題をふったのだ。


「そして、じつは、彼女は、私の妹なんだ。」

あぁ、知ってる。そして、理事長があんたの祖父であることも。

このコネ一家め。まぁ、教師としては悪くないから別にいいんだけど。


「だから、件数稼ぎに、佐久間と坂巻、なんか相談に行ってやってくれ。」

ずいぶんと露骨なサクラを担任教師に頼まれてしまった。


お昼休み、昼食を食べながら、優衣ちゃんと志野ちゃん、恵の3人と、作戦会議を行う。

「りっちゃん、何を相談しに行くの?」

「う~ん、どうしよう。なんか、無い?」

前世の事を相談しても「オカルト」扱いになるだろうしなぁ。

「りっか、恋は?恋。恋の悩み。」「何で?」

「いやそこはさぁ。恋する乙女~的な悩みとかないわけ?」

優衣ちゃんアウト。

「じゃ、りっちゃん、将来の事で悩みとかは?」「無い。」

「あぁ、美人で頭良いもんねぇ・・・・」

志野ちゃんもアウト。

「りっかさん。歳が離れているイケメンなダンディでやせマッチョなおじさまと

中学1年でも既成事実を築いて虜にできるような、恋愛テクニックを聞いてきてください。」

恵、一遍死んでこい。

「う~ん、いいのが無いなぁ。坂巻さんに期待するか。」


放課後を待ち、坂巻さんと一緒にカウンセリングルームへ向かう。

「坂巻さん、何か相談ごと見つかった?」

「うん、前から悩んでた事があって・・・」

うん、相変わらず、中性的だなぁ。

「聞いてみても、いいかな?」

「僕は、いや わたしは、少し押しに弱いところがあってさ。

それを悩んでいるんだ。」

あれ、いま「僕」って言ったよね?よね?


そうこうしているうちに、カウンセリングルームについた。


「すみません、ちょっと相談に来ました。」

「あら、いらっしゃい。1年生さんね。」

奥から、一人の教師が出てくる。うちの担任になんとなく似ている。

「座って。あったかいお茶でも入れるから。」

手早く、お茶を出してくれる。ローズマリーかな?

「何か、あったのかな?」

優しく聞きだしに来る。適当なうちの担任とは大違いだな。

「彼女の付き添いで来ました。」

「え?えぇと、えと、私は、気の弱いところがあって、それで、

誰かに頼みごとをされると断れないんです。」

「ほうほう。続けて?」

「それで、後で後悔してる事も多くて。」

そういえば、以前無理やりマイクロミニ履かせたっけ。ごめんねぇ。


「嫌なら、断ってもいいんじゃない?」

「でも、断ったら悪いかな って思っちゃって、つい。豆腐メンタルってやつで。」

「あら、どうして、お豆腐?」

「豆腐みたいに柔らかくて弱いから・・・」

「豆腐って、柔らかくてすぐ崩れちゃうけど、食べられなくなっちゃうわけじゃないでしょ。

それってすごいことだと思うよ。だって、するべきことはきちんとしているってことだもの。

それに、食べ物としては、栄養価も高くヘルシーだし、先生は、好きだな。」

「豆腐でも、好きになってもらえるんでしょうか?」

「ええ。私は豆腐が好きだ。私は豆腐が大好きだ!

湯豆腐が好きだ。冷や奴が好きだ。麻婆豆腐が好きだ。味噌汁が好きだ。

この地上で行われる、ありとあらゆる豆腐料理が大好きだ!

土鍋の中から顔を出す豆腐が好きだ。熱燗があるときなど心が躍る。

冷や奴を角から崩すのが好きだ。しょうゆがうまく絡むと胸のすくような気持ちだ

麻婆豆腐の豆腐の白が、豆板醤の赤に染まっていく様は感動すら覚える。

味噌汁の中の豆腐を、箸で引き上げた時などはもうたまらない。

引き上げる途中で崩れて、味噌汁を跳ね飛ばす様は、とてもとても悲しい気持ちになる。

私は豆腐を、大量の豆腐を望んでいる。

豆腐とは、良質なたんぱく質の塊だ。豆腐をどう思うか!?」

「え、えっと。豆腐は素晴らしい と思います。」

「そうだ!

我々は渾身の力をこめて今まさに振り降ろさんとする豆腐だ!

豆腐だ!一心不乱の豆腐だ!

奴らに、思いもよらない事があることを思い出させてやれ!」

「はい!わかりました、豆腐は豆腐なりに頑張ってみます!」

「そうだ!連中に豆腐の味を思い出させてやれ!状況を開始せよ!」


ごめん、俺ついていけてなかった。

どうして、「豆腐メンタル」の話から、こうなったんだ?

そして、坂巻さんは、何がわかったんだ?


うるんだ涙目で抱き合う2人を見ながら、俺は、相談したい悩みが出来た。

この悩みは、どこのカウンセラーに聞いてもらえばいいんだろうか・・・・


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