ショッピングでも勝ち組
TSものではお約束のお買いもの。
まぁ、やっておかないとね、王道だしね。
みんな好きだもんね。
自慢じゃないが、俺はウィンドウショッピングがあまり好きではない。
欲しいものがあったら、あらかじめ調べておき、さっさと買ってしまう。
ウィンドウショッピングなぞ、彼女の買い物に付き合わされる時にしかやったことが無い。
GW終盤の昼下がり、俺はデパートに来ていた。
先日の健康診断でもはっきりしたが、今までよりも大きめの服を買いに来たのだ。
ウェストとかはあまり変わって無いんだけど、胸がね。
以前はお袋と一緒に来ていたのだが、お袋は少女趣味に走ってしまうところがある。
小学校の頃は、別に構わないと思ってはいたが、さすがに中学生になると、
着ていて気恥ずかしいところがあるからね。
まず、1件目は下着売り場だ。正直、ここが一番気が重い。
「カエルを食べてしまえ」の格言に従い、嫌なことから済ませてしまおう。
まず、店員を見つけてサイズを計ってもらおうと思うのだが、空いている店員が居ない。
時間潰しを兼ねて、店内を一回りしてみる。
しかし、「誰が着るんだ?」というような下着が、なんでどこの店にもあるんだろうね。
あれなら、着なくても良いよね?っていう面積なんだが。
「ほほう。りっちゃんは、そういうのを選ぶのですか。すっかり大人ですネ。」
振り向くと、ほのか先輩が居た。
「うひょぇ!」
あぁ、びっくりした。でも、いまの俺は女だから、ここにいても問題は無いはずだ。
前世で、彼女につれてこられた時には非常に居心地が悪かったが、今は大丈夫だ。
「りっちゃんもお買いもの?」
「はい、ちょっと最近きつくなってきたので。」
「そうだよね~。育ち盛りだものね。サイズは?」
「それが、計ってもらおうと思ってるんですが、空いている店員さんが居なくて。」
「そっかぁ。」
次の瞬間、ほのか先輩に胸を揉まれた。それも、両方。
「う~~ ほのかせんぱぁい・・・」
「ふむふむ。
すみませ~ん。ちょっとカップサイズの計測お願いします。」
ほのか先輩は、店員さんに俺をおしつけ、店内を物色しはじめた。
「はいはい、あらら、姉妹そろって美人でうらやましいわね~。」
服を脱ぎ、メジャーで計ってもらう。
「まだまだ、これから育つわよぉ。お姉ちゃんみたいにね。」
なんだか、姉妹と勘違いされているようだ。それならば。
「ちなみに、お姉ちゃんってどう?」
「たしか「りっちゃん、どうだった?」」
ちっ、運のいいことで・・・。
「このあたりが良いんじゃないかな。」
ほのか先輩は、3枚ほど持ってきてくれた。色は全て白か、白に近い淡色。
サイズは、ばっちりビンゴ。この人は、何か、特殊スキルでもあるのかなぁ。
しかし、白だけってのもなぁ、もう少し色気というか、ロマンが欲しいね。
「来月から夏服になるでしょ。白くて薄手だから、色ものは透けるよ?」
「!」
衣替えというイベントを忘れていた。見るのはともかく、見られるのは嫌だからね。
試着してみて、ほのか先輩のお勧めを購入することにした。
その後、ほのか先輩と別れ、買い物を続けることにした。
ほのか先輩は、これから予備校で模試を受けるそうな。模試直前にお買いものとは、余裕ですな。
「あ、りっちゃんだ~」「あら、りっかさん」
優衣ちゃんと志野ちゃんがいた。
「お~、ふたりそろって、お買いもの?」
「そだよ~。参考書を買いに来た。あとついでに服。」
「りっかさんも誘ったのに、用事があるって言ってたでしょ?」
そういえば、遊びに誘われていたな。
さすがに、未だ一緒に下着を買いに行くのは気恥ずかしかったため、断ったんだっけ。
「参考書はもう買ったんで、これからの季節ものを見に来た。って、あれ?坂巻さん?」
上階のエスカレーターから、坂巻あきらさんが降りてきた。
「やぁ。奇遇だね。」
ポロシャツにジーンズの男っぽい服装。おまえ、本当に中1女子か?
「これから、服を見に行くんだけど、坂巻さんも一緒に行こう。」
優衣ちゃんは、ガンガンいくなぁ。
「え?わかった 一緒にいこう。」
みんなで向かったのは、ローティーン向けのショップ。
「りっかさんは、何を買うの?」
「ん~、小学校のときの服しか無いからさ、中学生向けのをいくつかかな。」
優衣ちゃんは、露出多い系、志野ちゃんは、おとなしめ系を選んでいる。
「りっちゃんは、これこれ、足細いし似合うよ。」
いやぁ、さすがにその短い短いスカートは、ぱんつ見えるからやだよ。
「坂巻さんはどう思う?」
「う~ん、制服でしかスカートって履かないからわからないかなぁ。」
「じゃ、坂巻さん、これ行ってみよう。」
坂巻さんはずるずると引きずられ、マイクロスカートを試着することになったが、
超似合って無かった。なんか、こう、ごめんなさい って感じで。
丸みが足りないんだよねぇ、彼女。ちょっと涙目でかわいそうになってきたな。
「あ~、坂巻さんは、もう少し長い方が良いよね。」
結局、妥当なところで、買い物を終えた。
優衣ちゃんは、なぜか「ひざ上20センチ!」にこだわっていたが
「じゃ、自分で履いてみれば?」と返したら、ショートパンツを選択してた。
なんか、女子校になじんでいるなぁ。




