健康診断でも勝ち組
自慢じゃないが、俺は友達が多い。
高校の友人は、38歳となった今でも、
家族ぐるみの付き合いがある。
時には、「弐千円札」のような黒歴史も存在するが、些細な事だ。
三つ葉女子学園中等部1年A組。
ここが、俺の二度目の中学生活の最初のクラスになる。
前世では、男子校であった。女子校は雰囲気が違う。
まず、第一にいい匂いだ。
男子校の朝など、最低だ。
部活上がりの汗と、早弁の匂いがまざり独特の匂いを作りだす。
女子校だと、良い匂いしかしないね。
「おはよー」
俺は、マスクを外しながら挨拶をする。
「あれ?りっか、風邪でも引いたの?」
「そうじゃないけど、病気予防のために。」
「風邪流行ってるっていうもんね~。」
いや、そんな生易しい病気ではなく、これから先の未来、
日本中で大発生する、「花粉症」という悪夢に備えているのさ。
いや、あれはやばいね。なんていうか、人を凶暴にするね。
「ブタクサとスギは根絶やしでOK」と、とある聖職者も言ってたもんな。
悪魔かお前は。
入学式から1週間が過ぎ、クラス内で、だいたい仲良しグループが決まってきた。
俺は、優衣ちゃん、志野ちゃんと、恵ちゃん(ぱっつん黒髪ちゃん)と
一緒に居ることが多い。
まぁ、そのうち一人は、監視の意味も込めて、引き入れたようなものだが。
「おはよ~。今日は寒いね。」
志野ちゃんが少し遅れて登校してきた。
「おはよ。そうかな?そんなに寒いかな?あたしは平気だよ。」
優衣ちゃんが答える。
「ナマ脚だと、すこし寒くない?」
志野ちゃんも俺も、タイツを履いている。今日は特に冷えて、脚がさむいんだ。
でも、優衣ちゃんは、薄小麦色の肌をさらしている。
「気合いだよ。きあい~。みんな、弱いなぁ。」
「筋肉量が多いと、冷え症になりにくい んだって。」
恵が、ぼそっと割りこんでくる。豆しばみたいなうんちくだな。
「そうそう、脚に筋肉が多いと寒くないんだよ。陸上部だしね。」
「でも、それって、足が太いってことじゃない?」
志野ちゃんが的確な突っ込みをし、優衣ちゃんが凍りつく。
「ち、違うよ?そんなに太くないよ?」
優衣ちゃんは、椅子をずらして、体ごとこちらに向き直り、さらにスカートを少しまくって
なま足を見せてくる。
うん、太くは無いぞ。健康的で魅力的だと思うよ。まだまだ、発育途上だけどな。
「それより、りっかの脚が細すぎるんだよ~。あたしの腕より細いって、どういうこと?」
確かに、今世の俺は、かなり細身なんだ。まぁ、前世でもやせ気味ではあったが、
ここまで細くは無いな。
「ん~そうかなぁ。もう少し太りたいんだけど、お腹周りにだけ
お肉がつきそうで、怖いんだよねぇ。」
「今のやせマッチョがダンディで・・ステキ。太っちゃったらダメだよぉ」
恵は、いつも拾えないボケをするなぁ・・・・・・・
「そんなことないよ、りっちゃんは、お肉は胸に行く派でしょ、ずるいなぁ。」
志野ちゃんの手が、なんかエロく伸びてくる。胸を揉もうとするな。
「脚はこんなに細いのにぃ」
こっちは、脚をなでてくる。
「やせマッチョ・・・ステキなおじさま(ハート)」
なんか、お祈りしている。
なんか、滅茶苦茶なまま、朝のHRの時間になった。
男子校では、こんなスキンシップは無いな。あったら、きっとトラウマになっていただろう。
考えただけで、おぞけが走る。女子的には、逆ハーレムなのかもしれないが。
「前に言った通り、今日はお昼の後、健康診断だぞ~。
まぁ、女子しかいないから、見栄はって飯抜く意味は無いぞ~。」
そういえば、今日は健康診断だった。
お昼休み、いつもの4人で食事をする。今日は、俺と恵だけが食事をしていた。。
「食べないの?」
「うん。お昼は、我慢する。水だけで、我慢する。」
優衣ちゃんは、ペットボトルのお水をがぶ飲みしている。
「わたしも、我慢する。」
志野ちゃんは、あさっての方向を向いている。
いや、記録会じゃないんだからさ、今だけ抜いても意味が無いというか、
水も体重にカウントされるから意味が無いというか・・・・
どこから突っ込めばいいのか・・・。
年頃の女子は、おじさんにはわからないな。
健康測定は、あいうえお順で行われる。
順番に測定していく関係上、直後の人には、前の人の数字はばればれなわけで。
みんなとは、少し離れているのがうれしい。
俺の前は、坂巻あきらさん。
中性的な顔立ちの、制服がいまひとつ似合わない子だ。
女の子にしては丸みが足りず、男にしてはごつさが足りず といったような。
男子校なら、確実にからかわれているだろうが、ここは女子校。
クラスの女子にもてている人気者だ。
身長、体重と計測していく。この時代、まだ胸囲の計測がある。
確か、90年代には無くなったと聞くが、男ならともかく、女の子だと
ちょっと気恥ずかしいものがあるな。無くなる理由もわかる。
あきらさんは、絶壁だった。
いや、ちょっと絶壁すぎないか、あれ。
以前、女子が男子校なんて行けないよね と思っていたが、
彼女なら、いけるかもしれん・・・・・
いや、もしかして、男 という可能性も・・・・・
悩んでいたら、あきらさんがこっちにやってきた。
「りっかちゃん、内諸にしててね?友達だよね?」
ちょっと涙目だったので、頷いておいた。
もやもやしたものを残しながら、健康測定は終わった。
「りっちゃん どうだった?」
「あたしは、身長が3センチのびてたぞ~」
「ん~まぁまぁ。」
測定結果を見せたら、2人に激しく揉まれました。痛いよ!
あきらさん登場回
 




