第三回 姫は王子に救われた
「お…おおメルガよ。私をこのお城から助けて…たすけ…くっ」
千尋は演技の練習をしていると、いきなり止まり、笑い出した。
「あっははははっ!」
「ちょっと…カットカット。千尋またかよ。何なんだよさっきから」
「ごめ…ごめんー!で…でもこの台詞…あ、甘すぎっあっははっ!はー!」
千尋は涙を出して大笑いしていた。
あの約束から一週間、何のジャンルかと配役だけは何とか決めて劇の練習をしている。
ジャンルは恋愛。
囚われた姫を城から助けるという、よくある内容だ。
配役はそれぞれ、千尋はケルミ・ユルという囚われた姫。
流川はケイン・メルガという王。
未雪は町娘のあやだ。
だけど、どう考えても千尋には姫が合わない。
どちらかというと未雪は可愛いし、素直だから未雪の方が姫にふさわしいと思うかもしれないが、この天然さでは姫としては弱々しい。
なので未雪は町娘。
千尋は無理矢理、姫のいう風になったのだ。
でも姫はさすがに千尋とは性格が違いすぎる。
さらに恋愛のジャンルにしてしまったため、おとぎ話の様な甘々しい言葉も言わないといけないのだ。
「ちーちゃん大丈夫?流川君に変なことされた?」
「おい未雪わだからその地味にリアルさを出す発言をやめてくれ」
「流川君、ちーちゃんに変な事言わないでよ!」
「いや笑ってるだけだし…。っていうかさ…時間ねぇんだしさ、やるぞやるぞ」
「あっはっはっ!はー!うんそうだね!やろうっぷっあっははっ」
「…いつまで笑ってるんだよ。」
劇まで迫ってくる時間‼
本番まであと少し!でも劇の練習は困難ばかり‼