小話06
「クシュンっ」
秋もそろそろ終わる季節。
肌寒いという感覚を通り越してただただ体の芯から凍えるような寒さに移り変わる。
「おい風邪か?」
隣でくしゃみをしてダルそうにしている涼華に声をかける。
「うーん…頭が痛い…」
額に手を当てる涼華の顔はうっすらと赤みを帯びている。
はぁとため息をつき涼華の腕を取った。
「お前…!ずっげあちーじゃねーか!馬鹿じゃねーの!?」
思ったよりも熱すぎる涼華の体温思わず声を荒げてしまう。
「うーんたいしたことないかなーと思ったんだけど…」
ぼんやりとする涼華に苛立ちを感じる。
なんでもっと自分を大切にしようとしないんだ!コイツは!!
「ほら!来い!保健室行くぞ!」
机に突っ伏しそうな涼華を無理に立たせ手を引く。
「ちょ…武藤君…」
歩くのも億劫なのか手を引かれるがままの涼華。
「とにかく!保健室で寝てろ!治りそうじゃなかたら病院に行くぞ!」
ぐっとついつい力を込めてしまう腕に涼華は顔を下げ、
「ごめん」
と一言言ったきり何もしゃべらなかった。
謝るぐらいならもっと自分のことを大切にしろ。
頼むから心配かけてくれるなよ。