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プロローグ

人生で初めて小説を書いてみました!


暇つぶしにでも読んで頂けたら嬉しいです!



センター試験

全国のおよそ九十八パーセントの高校生及び浪人生が受ける日本の共通試験のことだ。

この試験の結果によって、あるモノは門前払いされ、あるモノは門をくぐり抜け、あるモノは次のステップに行くことが出来る。

国立に行くものにも、私立に行くものにもとても重要な試験だ。


「・・・・・・」


そして彼もまた大勢の学生と同じように試験を受けるべく電車に体を揺らされていた。

特徴のない容姿と体躯のただの一般高校生。

強いて挙げるならその彼の瞳だろう。

それは別に目の色のことではない。彼は他勢と同じの黒い瞳だ。

ただ、その瞳から周りの人が肌で感じることが出来るほどの何かを放っていた。意思、自信、好奇心、興奮、緊張、覚悟、そして高揚。

彼の瞳はそんな彼のあらゆる感情が巡りまわっていた。


『次は~東本郷~、東本郷~ 』


電車のスピーカーから降りるべき駅を告げられた彼は、わずかに笑みを浮かべ、ついに瞳の感情を顔に出した。

まるでこの先に最高の楽しみが待っているような、そんなことを思わせる表情だ。

彼は根っからの挑戦者だ。どんなに才能がないとか、絶対に勝てないとか、そんな自分にとっての壁が立ちふさがることに、異様なまでに胸を躍らせ、またその目標に向かって努力することが大好きだった。

だからこそ、今日のセンター試験にもまた胸の高ぶりを感じているのだ。

キキーッとカーブする音の後、電車はスピードを徐々に落としていく。やがてホームに入り込む時の独特の空気の変化を感じ、彼は立ち上がった。

と、そこで――


「!?」


視線の先できらりと光る鋭くとがった何かを持っている男と、それを背中に突きつけられそうになっている女性がいるのに気がついた。

女性はまだ気づいていないようだ。

男は何やら思いつめたような顔つきでわずかに腕を引いた。


(まさか・・・!?)


本当に刺すつもりなのか?と思考を進める前に体が勝手に動いていた。

人と人との間を素早く最小の動きで避け進み、男が腕を前に突き出すその瞬間に――


「うぐっ」



二人の間に張り込んだ。

そしてそれと同時に、アナウンスが流れ電車のドアが開いた。

雪崩のように人はドアからホームに降り立ち、ある程度いなくなったところで誰かが悲鳴を上げた。

彼のその惨状を見つけた誰かだろう。

彼はその悲鳴を最後に耳に残して――意識を闇の底へと沈めて行った。






ペシペシペシペシ


「んんんっ」


何やら頬を叩かれているような感触がする・・・

・・・?

あれ? 意識がある?

彼はゆっくりと目を開く。いきなり眼に入り込んできた光に顔をしかめ、手で光を遮る。

徐々に慣れてきた視界を確認するかのように何度か瞬きをし、ポツリと呟いた。

「ここどこだ?」


白。

その一言で十分な部屋。・・・いや、空間だ。

何もない。壁もなければ扉もなく、扉もなければ家具もない。そしてさらには・・・床もない。


「なんだここ?」


脳内中枢機関では理解不能と表示されているこの空間。彼は思考をそこでやめて周りを見渡した。


「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・起きた?」

「・・・・・・」


ちょうど横に顔を振ったところだった。

目の前にいるのは五歳くらいの男の子。外人っぽい顔のイケメン・・・いや、そういった類のものではない。温和で純真無垢そうな、どちらかと言えば女の子のような顔だ。普通なら女の子と間違われてもおかしくはない。そのくらいのレベルだ。


「ねえ、起きた?」


ただ彼が間違えることはなかった。


「ねえってば!」


それは――


「・・・なんで裸なんだよ」

「ん?」

「だから・・・何で裸なんだよお前!」


眼の前の男の子は・・・裸だった。





「さて、自己紹介するかな。僕の名前はアース。地球を担当する神様見習いだよ」


服を着た男の子、アースは胸を張って自慢げにそう言った。


「・・・・・・」

「何か反応してくれないかなぁ?」

「いや、何て言えばいいんだよ?」


刺されたはずなのに目が覚めたらこんな白一色の発狂しそうになるくらい何もない空間にいて、挙句の果てには眼の前の男の子は自分で神様・・・の見習いだとか言っている。

まだ十八年しか生きてきていない彼に、そんなことを一遍にいきなり突然突きつけて一帯どんな返答を求めているのだろうか。


「・・・俺は神代連だ・・・いや、です」


彼はとりあえず自分も自己紹介をするという一回限りの抜け技を使った。


「別に敬語とか使わなくてもいいよ。僕は神様見習いだから君と近い存在だし」

「?」


彼が首をかしげると、アースは面白そうに笑みを浮かべた。


「まずは君に現状の説明をしてあげようか。まあ、分かってはいると思うけど、君は一月十八日に電車の中でアイスピックを背中から根元までぐさりと刺されて、十八歳という若さでお亡くなりになりました」

「え・・・?」


亡くなった?

・・・死んだってこと、か?

彼の頭の中では『死亡』という言葉が走りまわっている。

確かに記憶にある。

自分が女性を守るために間に入ったこと、そしてそのタイミングが悪くて刺されたこと、最後に誰かが悲鳴を上げたこと。


「・・・・・・」


すべて記憶にあった。


「俺は・・・死んだのか」

自分を認識するようにふと口から言葉が漏れた。


「気付いてなかったんだね。君は生きている頃はすごく聡明な人間で通っていたからてっきりこの状況を冷静に分析していたと思ったよ」

「・・・で、俺は死んだのになんで意識があるんだ?」



彼は現状を認識し素早く次のポイントに話を進めた。この切り替えの速さこそが、彼が聡明と言われる所以なのかもしれない。


「ふふふ、それはね君の魂が濃いからなんだよ」

「魂が濃い?」

「そう。万物全ての命を持つものは必ず魂と言うのが存在する」

「犬や猫も?」

「それだけじゃない。木や草や花もまた然りだよ。これらは命を失うと天界へ魂となって送られてくる」

「それで?」

「実はその濃さで魂のその後を決定するんだよ。ただ、普通は精々天界の仕事に就く、くらいなんだけど、君の場合はそれはとてもとても濃い魂で、君と言う存在を死してなお、表しているほどなんだよ」


正直、彼にはアースの言っていることを大まかにしか理解できなかった。だが、何となく言いたいことは分かる。


「要は、他とは違うんだろ?」

「うん、まあ、そんなところだね。それでね、君はそんだけまだ魂が濃いならもう一度命を持つことだって可能なんだよねって話し。分かる?」

「・・・・・・つまり、もう一度生きることが出来るってことか?」

「うん、その通り。あ、だけど元いた世界に戻ることは出来ないよ。世界で命が尽きたらもう世界から拒絶されるからね」

「じゃあ、どうすんだよ?」

「うん、君には僕の管轄下でない違う世界に行ってもらうよ」

「異世界か?」


今の今まで頭が回らなかったけど、これは小説とかにあるヤツと同じなのか?


「その通りだよ。君は神代連ではなく全く違う人間として新たな命を得るんだ」

そう言うや否や、アースは指をパチンッと鳴らす。


「それでは、よい人生を」

え、と彼が疑問符を浮かべたところで、いきなり目の前が真っ暗になった。



アドバイスなどがあれば是非ください!

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