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女神の日々  作者: 漓雨
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-4・家族のことを教えてもらいました-

本作に登場する神々について、実際に伝わっている神話や伝説等とは無関係であり、また伝わっている性格とは大きく異なっていることがありますのでご注意下さい。

 ふわふわと優しく綺麗な空間で幼さを残した少年とまだまだ足も覚束ない幼い女の子が遊んでいる。

 少年の女の子を見る目はこの上なく優しく、とても大事で愛しく想っているのがこちらにも伝わってくるほどで微笑ましく映る。

 女の子の方も、そんな少年のことが大好きなのだろう。少年に付いて歩く様はまるで子猫がじゃれているようで愛らしい。


「―――は、おおきくなったら、おにいちゃんのおよめさんになるの!」

「嬉しいな。じゃあ、―――は、大きくなったら絶対に僕のお嫁さんになってね。約束だよ?」

 女の子は幼いながらに、真剣だった。それに答えた少年も、とても真剣だった。

 ふたりはまだまだ幼かったが、互いを想う気持ちは既に一人前だったのだろう。


「おにいちゃん、だぁいすき!」

「僕も―――が大好きだよ」


 そう言って笑い合うふたりの姿は幸せそのものだった。



 ◇◇◇



 あの後、目を覚ましたときにはもう毘沙門天さんはいらっしゃいませんでした。

 羅刹女さんが気を失った私を心配して、今日のところはとりあえず帰ってもらったのだそうです。


 それから私は、羅刹女さんに天界での私のことを簡単に教えてもらいました。


 私が転落したのは、私の100歳の誕生日直前だったこと。

 両親は徳叉迦龍王(とくしゃかりゅうおう)鬼子母神(きしもじん)で、夫婦仲はいつまで経っても新婚さながらで、私には妹もひとりいること。

 父の徳叉迦龍王は、天候、特に雨風を司る神らしく、私が天落した際には、半狂乱になって人間界の天候が荒れに荒れたらしいということ。

(何て迷惑な……。)

 母の鬼子母神は、人間界では子供を食べたり子供が何百人もいたりする怖いイメージがありましたが、実際はそんなことはなく、子供は私と妹のふたりだけで、気の強い性格ではあるもののとても良い母親であること。

 妹の黒闇天(こくあんてん)は、私が転落した直後に生まれ、会ったことはないけれど、羅刹女さんや両親にいつも私の話を聞かされていたために、私にとても会いたがっているということ。


 そして。

 婚約者だという、毘沙門天さんのこと。


 毘沙門天さんの父君であるヴィスヴェーシュヴァラさんと父、徳叉迦龍王が親友で、子供達を結婚させることにしたことで私たちは許嫁になったみたいです。

 毘沙門天さんは戦神で、四天王や十二天、七福神の一尊で、色々忙しい方なのだそうです。

 何故か羅刹女さんは毘沙門天さんのことについてはこれ以上のことを教えては下さいませんでした。


 どうやら、羅刹女さんは毘沙門天さんのことが気に入らないようです…。正直な話、自分の婚約者のことですし、もっと詳しく知りたいのが本音です。

 特に、何故彼が人間界に降りて、しかも、私と同じ学校なんかに通っていたのか、とか。とても気になるのです。

 ……今度いらっしゃったときに、直接聴いてみましょう。



 それはそうとして、人間界の家族についても羅刹女さんは教えて下さいました。


 一週間経った今でも、両親やお姉ちゃんは沈み込んでいるそうです。…特にお姉ちゃんの沈み様は酷く、暫くお仕事はお休みをもらってずっと部屋で泣いているということです。同じように沈み込んでいた両親はそんな姉を見て、このままでは姉までどうにかなってしまうのではないかと、気を強く持って姉を支えることを決め、どうにか立ち直りつつあるらしいです。

 ……お姉ちゃんが今まで仕事を休んだことなんて、殆どありませんでした。仕事が大好きで、とてもやり甲斐を感じていると言って笑っていたお姉ちゃん。そんなお姉ちゃんが、仕事にも行けないくらい私のことで沈み込むなんて……。

 お父さんやお母さんが立ち直ってくれたことがせめてもの救いではありますが、なんとか元の明るくて元気なお姉ちゃんに戻って欲しい。

 お姉ちゃんがこうなってしまった原因を作った私が言うのもおこがましいですが、なんとかしたいのです。

 せめて、お姉ちゃんにもう一度会うことができれば……。

 …!そうですよ!会いに行けば良いんじゃないですか!


 こうなったら、いてもたってもいられません。とりあえず羅刹女さんに相談してみることにしましょう!


 思いたったが吉日とばかりに、私は行動してみることにしました。

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