神様に嫌われてる?
僕の隣の席に座っている背の低い彼女は自称、神様らしい。
そしてこの自称神様は僕を嫌っているらしい。
「おい岬」
「なぁに?中澤さん」
「中澤と呼ぶな、神様と呼べ。私はお前が嫌いだ。だが、時にはそんなお前に頼らなければならないこともある……岬、この問題わかるか?」
中澤さんがおずおずと数学のノートを僕の方へ差し出す。
悔しいのか顔が林檎のように真っ赤だ。
「あぁ、これは因数分解を使うんだよ」
「……因数分解ってなんだ?」
因数分解について懇切丁寧に教えてあげると、中澤さんはちゃんと理解してくれた。それどころか、さっき僕に聞いてきた問題を自分で問いてしまうぐらいだ。
「岬、一応礼を言っておく」
「うん、それにしても神様は律儀だね。僕だったら嫌いな奴には絶対、礼なんて言わないよ?」
「当たり前だ、なんせ私は神様なんだからな」
中澤さんが自慢げな顔をする。 本当は僕、嫌みをを言ったつもりなんだけどなぁ。
そんな鈍感な中澤さんが可愛いと思う。
「なにニヤニヤしてるんだ、気持ち悪い」
中澤さんが僕を警戒する猫のように睨む。
「ねえ、神様」
「んっ? なんだ」
僕に神様と呼ばれて中澤さんは心なしか嬉しそうだ。
「神様を振り向かせる方法ってあるのかな?」
「何を言っている、もうとっくに振り向いてるだろ?」
中澤さんは頬をうっすら赤らめながら笑顔で当たり前だとばかりに言った。
なんとなく思いつきで書きました。
ちなみに数学の自習時間の設定です。