prologue 記憶の消去
ここはオレの部屋。
だが、
いつもと違うことがひとつ。
「あなたの記憶、消してあげよっか?」
いきなり目の前に現れた彼女は、そんなことを言い出した。
記憶を・・・消す?
今のオレに冗談は通じない。
なぜなら、現実がいやになっていたからだ。
過去の自分を恥じ、いっそ記憶なんて無くなってしまえばいいと思った。
その矢先に、これだ。
ベッドに倒れこむと、隣から声がした。
「・・・あなた」
「!?」
がばっと起きて声の主を見ると・・・彼女はおぼろげに笑って、こう言った。
「あなたの記憶を、消してあげられるよ」
そして現在にいたる。
慎重は150くらいだろうか?
とにかく小さい。
首にかけている十字架にまとわりつくドクロ、身なりは・・・そう、まさに死神のようだった。
漆黒のマント、紅に染まる服。
手には、先に鎌がついた杖を持っていた。
「・・・誰?」
いま思えば、そんな非現実的なことが目の前で繰り広げられてるのに、
よく質問できたなと自分に感心した。
「死神だよ」
オレが呆然としていると、彼女は言った。
「・・・考えたよね?記憶を消したいって」
「・・・あぁ。だがそれがなんだ?」
彼女は目に闇を宿らせて続ける。
「あたし達死神は、そんな”いらない記憶”を求めてる」
「・・・なぜ?」
それは、至極当然かの口ぶりだった。
「世界をゼロにするため。そして・・・フォールワールド(死神界)でヒュージデビルを蘇らせる」
こいつは・・・なにを言っている?
世界をゼロにする?フォールワールド?・・・ヒュージデビル?
そんなことどうでもいい。用は・・・
「本当に記憶を消してくれるのか?」
「もちろん」
そういうと彼女はステッキを構えた。
「これは見た目だけで、実際には切れない。その代わり・・・記憶をもぎとるんだ」
そんなことを言われたところで、全く恐ろしくもなかった。
「ひとつ聞きたい。部分的な記憶だけをやることはできるか?」
「お望みならば、そうしよう」
「・・・わかった」
深呼吸を何度か繰り返し、言った。
「オレの記憶上の、嫌な想い、辛い経験をすべてやる」
「・・・いいよ」
なんとなく、目をつぶる。
実際には切られないとはいえ、自分にふりかかってくる鎌に恐怖心がないわけがない。
「・・・さようなら。あなたの・・・全て」
は?と思い目をあけても遅かった。
オレは・・・
全ての記憶を失った。
初めまして。WhiteCrowです!
ファンタジーは初めてなので更新遅いかもしれません。
この小説は、作者自身、記憶消したいな〜・・・と思ってから、
「そうだ、こんな小説つくってみよう!」
ということでおもいつきました(笑)
楽しんでいただければうれしいです。
感想など待ってます!
褒めて伸びるタイプなので(笑)