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プロローグ
爆発、衝撃、熱風によって自宅が破壊しつくされた時、上枝綾太郎はこの世界の神を呪った。
彼は地に身体を落とされ、数秒前まで床だった砂地の冷たさを顔全体で食らってしまう。痛みで打ち震えながら何とか体を起こそうするが、直後、燃え落ちた瓦礫の山に彼は体のあらゆる部位をボコボコと殴られる。
肉体が悲鳴を上げる。黒く霞みゆく視界。
四方を火炎に囲まれる中、彼の全身は急速に熱を失いだす。
上枝綾太郎は初めて“死”を、自分事として実感した。
死にたくない。
まだ生きたい。
忘れたくない。彼は──願った。
刹那。彼は自分の脳天から足先へと一本の直線が引かれたような、己の底に『何か』が鋭く刻まれた感覚を覚えた。
だが、すぐに衰弱した体が意識をゆるりと手放し始める。抗おうと必死に目を見開こうとしても、生理的なSOSが無慈悲に彼を休眠へと向かわせた。
そして、上枝綾太郎は気を失う直前、真っ白な少女の姿を見て────。




