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骨折の思い出

作者: kaoru igarashi
掲載日:2026/02/25

小学校の一年生の時、休み時間にサッカーゴールによじ登り、手が滑って落ちてしまった。


右手がひどく痛かったのを覚えている。


授業が始まるので、教室にもどって椅子に座っていたら、私の様子がおかしいと思った先生が、右手を触ってきた。


飛び上がるほど痛かった。

骨折していた。


その後、保健室のおばさんが私をおんぶして、大急ぎで近所の病院まで全力で走ってくれた。


その時、背中から見えていたおばさんの汗だくで必死な横顔を今でも覚えている。


病院は休みで医師がいなかったらしい。


仕方なく、おばさんはそこから20分ほどある商店街の中にあるほねつぎと書いてあるところに連れて行ってくれた。


お化けが出てきそうな暗いところだった。


ほねつぎとは、手術ではなく麻酔も使わずに、引っ張って骨をつなぐというやり方だった。


ガチガチにつかまれて逃げられない。


怖そうなお爺さん先生だった。


無理やり私の右手を引っ張って骨を元の位置に戻す。

私の怪鳥の叫び声のような断末魔の声が部屋に響いていた。


おじいさん先生には子供が泣こうがわめこうが関係ない。


殺されると思った。


骨を元の位置に戻して、セメントのような粘土のような冷たいものを腕にぬる。それが固まってギプスになる。


荒っぽいが、今は後遺症も傷も何もない。

完全完治だ。


私はあの保健室のおばさんに、一言もお礼を言っていない。


どうしてお礼を言えなかったのだろう?


一年生だったのでお礼とという言葉も知らなかったのかもしれない。


あの時、お礼は言えなかったが、助けてもらったという体験は心にいつまでも残っている。


あのおばさんの汗だくで必死の横顔は一生忘れない。


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