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女騎士とおっさん従者  作者: 愛自 好吾


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第6話 思惑



 「これはこれは、どこの田舎騎士が出張って来たかと思えば。」


 偉そうな態度で言い放つ人だな、貴族ってのはみんなこうなのか?


 部屋に入って来た二人は、こちらに一瞥した後にソファーに座る。


 一人はこの町の町長だろう、えらく成金趣味な服装で指には宝石の指輪が目立つ。


 そしてもう一人は………。


 「どうした、何を呆けておる。さっさと座れ。」


 この場を取り仕切る人だ、エメラルドさんの態度と発言からして貴族だろう。


 「まさか、クエイド侯爵様がいらっしゃるとは存じませんでしたわ。」


 言いながら、エメラルドさんもソファーに座る。俺はその後ろで待機だ。


 「用件は何だ? 手短に話せ。」


 ふーむ、用件があるのはそこの町長なのだが、そいつを庇う様に言うな。


 これは何かあるのかな?


 恐縮しつつも礼節を持って対応するエメラルドさん、騎士と貴族か、さて。


 「はい、先ずお聞きしたい事は、そこにいらっしゃる町長さんにお話を伺いたいのですが。」


 「私めにですか? 何でしょう。」


 町長さんは特に焦る様子も無く、受け答えをした。貴族が庇っているからかな?


 エメラルドさんはズイっと前のめりになり、町長さんの目を見て言う。


 「この町で何か困った事がおありじゃありませんか? 例えば、賊が出入りしているといった事柄とか。」


 ストレートに聞きにいったな、さて、相手の反応はどう出る。


 俺もエメラルドさんも、町長の顔色を窺っていたのだが。それを被せる様に言う男がいる。


 「何か問題か? 町長よ。」


 「いえ、全く問題はございませんよ。何か勘違いをなさっておられるようですな。」


 「だ、そうだ。」

 

 侯爵と町長で結託でもしているかのように、二人だけで会話をし、勝手に話を終わらせた。


 これは、何かあるな。


 俺の直感もそう言っている、二人の顔がニヤケているのが何よりの証拠だ。


 貴族様が出張って来ている以上、こちらも不用意に追及できない、と言った様だ。


 エメラルドさんが悔しそうに溜息をして、立ち上がる。


 「もう結構です、お時間を取らせてしまいました。わたくし共はこれで失礼いたします。」


 そう言いながら、目線で俺に付いて来いと言う態度を執るエメラルドさん。


 おや? もういいのかな?


 怪しさ大爆発なのだが、まあ、俺はエメラルドさんの従者なので、従う。


 俺達が部屋を出ようとしたところで、不意に貴族から声を掛けられる。


 「ところでエバンス家の者、もう借金は返済したのかな?」


 「………いえ、まだです。」


 エメラルドさんは、まるで苦虫を嚙み潰したような表情で答える。


 エバンス家? 借金? エメラルドさんに関係があるのかな?


 「行きますよ、ジョー。」


 「は、はい。」


 慌てて付いて行く俺を尻目に、貴族と町長は勝ち誇ったような表情で笑っていた。


 見送りもなく、俺達は屋敷を後にした。


 エメラルドさんの足取りは速い、ヅカづカとした歩みで町中をゆく。


 町長の屋敷から少し離れた所で、エメラルドさんは地団駄を一回踏んだ。


 「フンッ、貴族を盾代わりにして! これ見よがしね!」


 憤っていらっしゃる、何でその場で追及しなかったのかな?


 「こちらが賊に襲われたという証拠があるのに、何で引き下がったんですか?」


 「テーブルにお茶の一つも出て無かったからよ! お引き取りをっていう事なんじゃないの!」


 ふむ、そうなのか。貴族のやり取りはようわからん。マナーというやつか。


 「よく分からないんですけど、貴族ってのはこんな田舎の町までよく出張って来るもんですか?」


 俺が質問すると、エメラルドさんは少しだけ溜飲を下げた様子で答える。


 「普通は無いわ、ただ、何かあるのは間違いないでしょうね。」


 「と、言うと?」


 「貴族位というのはね、国王陛下が功績をあげた人物に与えるものよ。それが代々続いていって、貴族にも歴史が出て来るのよ。」


 「エメラルドさんが、あのお貴族様は侯爵様と言っていましたが。」


 「そうよ、この国で言えば国王陛下がトップにいて、その臣家が貴族なの。」


 エメラルドさんと話しているうちに、段々と機嫌が元に戻ってきたようだ。


 笑顔が素敵なエメラルドさん、眉間にしわなんか無い方が良い。


 「侯爵っていうと、上級貴族の二番目に偉い感じですか?」


 俺が聞くと、まるで先生になったかのように答えるエメラルドさん。


 「あら、分かってるじゃない。国王陛下が一番上で、順番に公爵、侯爵、伯爵と、ここまでが上級貴族と呼ばれているわ。」


 「じゃあ、下級貴族は上から子爵、男爵、騎士爵、って事ですか?」


 「いいわいいわ、ジョー、あなた中々分かってるじゃない。」


 まあ、ゲーム知識とか、ラノベ読んでたりとかで知ってるだけですがね。


 エメラルドさんはご機嫌だ、誰かに教える事が嬉しいのかもな。


 それとも、俺がエメラルドさんの従者だからかな。よくわからん。


 「そう言えば、クエイド侯爵が言っていましたね、エメラルドさんに向かってエバンス家の者って。」


 それを質問したところ、不意に顔が俯くエメラルドさん。


 あ、何か失敗したかな。と思ったら、小声で答えてくれた。


 「その話は、ここでは出来ないわ。知りたければ私の信用を得てからね。」


 ふーむ、俺はまだ信用に値しないって事か。


 まあ、出会いがあんなだし。仕方が無いだろう、それぞれ事情というモノがある。


 今はそれで納得しよう。さて、町長の話だ。


 「あの町長は何かを隠しているのは顔の表情で分かりますが、上級貴族が出張ってくるような事について、何か心当たりはありますか?」


 「うーん、これはジョーに言うべきか否か、悩むわね。」


 エメラルドさんは俺を見て、思案気にしつつ移動を開始した。


 「ジョーはこの国の人じゃないのよね?」


 「ええ、遠い所からの異邦人ってところでしょうか。」


 「じゃあ、この国の事はあまり知らないのよね。」


 エメラルドさんの後に付いて行き、町の広場までやって来た。


 そこでは多くの人が、それぞれ憩いの場を満喫している。


 屋台などが出ていて、美味しそうな匂いを漂わせている。


 「そう言えば、お腹空きましたね。」


 「あ、もうお昼か。じゃあそこの屋台で何か食べましょう。ジョーはお金持ってる?」


 「少しだけなら。」


 「じゃあ、ここは私が出すわ。その代わり、私の好きな食べ物で良い?」


 「奢りなら喜んで、空腹は何よりのスパイスですから。」


 そうして屋台で注文したのは、肉串だった。


 塩コショウが利いていて、旨い肉だった。何の肉かな? まあいいや。


 「うん! 美味い! 何の肉ですか?」


 「やっぱりオーク肉は最高ね!」


 聞かなきゃ良かった。


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