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【24】クラス対抗戦③ 〜戦端は静かに、熱く〜


 仮想戦闘空間——。


 それは、魔法陣と術式によって構築された巨大な演習フィールド。

 空間ごと再構成されるため、実際に剣も魔法も通じる“リアル戦闘”が可能だが、命に関わる傷だけは強制転送で回避される仕様になっている。


 だが、痛みも、転倒も、燃焼も、すべて実体験。敗北は、“記録”として学校とギルドに残される。

そんな厳しい戦場に、いま二つのクラスが姿を現した。


「いよいよか……」


 アーシスが剣の柄に手をかけながら、前を見据える。


 向かい側。 

 紫髪の少女——プティット・アラメラージが、無表情のまま魔導杖を握っている。

 その隣に立つ緑髪の剣士、パット・クレマシーは、軽く肩を回しながら小さく息をついた。


(出たな……問題児チーム)

 シルティは隣のアーシスにぼそっと言う。

「油断はできないぞ。あの魔術師……」


 マルミィは不安げに呟く。

「事前に見た戦闘映像、攻撃魔法の軌道が“狂ってる”んです……わざと避けづらくしてるみたいで……」 


 アップルは目を細め、にこやかに言った。

「大丈夫、みんなで連携すれば勝てるよ。私はサポートに徹するから、あとのことはよろしくね〜」


 アーシスは思わず笑った。

(この空気の中で笑ってるって、やっぱアップルすげぇな)


 上空、観客席に浮かぶステージでは、実況担当の教師が声を響かせていた。


「さあ、本日最初の試合は——1年A組と、1年C組の対決だ!初戦にふさわしい、実力拮抗の一戦!注目は両クラスのエース、アーシス vs プティットの直接対決か!?」


 歓声がわき、空気が高まっていく。


(よし……やってやる)

 アーシスは息を吐き、仲間を見渡す。


「みんな、いくぞ!」

「「「おーっ!」」」

「試合、開始!!」


 仮想戦闘空間が起動し、舞台は霧深い森へと変わった。

地面には落ち葉。木々が複雑に入り組み、視界が悪い。


(やなフィールドだ……)


「まずは布陣!」

 アーシスが指示を飛ばす。

「マルミィ、後衛!アップルは中央で索敵!シルティ、俺と前に出る!」

「了解!」「任せなさい!」「にゃふ〜ん!」


 にゃんぴんも元気に鳴く。

 その時だった。


 地面に刻まれた何かに、アーシスが気づいた。


「罠だ!! 全員——!」


 ギギギ……!

 突如、地面が赤く発光し、魔導トラップが発動した。


「シルティ、下!」

「っち、間に合わな——!」


バァン!


 魔法陣から噴き上がる光。シルティが吹き飛ばされ、木に激突。


「シルティ!!」

 マルミィが悲鳴をあげる。


「くくく……簡単に引っかかってくれるわね」


 森の影から現れたのは、プティット。

その足元には、複数の重ね式幻術陣。

 周囲の風景がゆがみ、どこまでが本物か見えなくなる。


「ほら、ほら、どうしたの? 主人公くんたち。“優等生A組”なんだから、もっと華麗に勝って見せてよ?」


(……こいつ、最初からトラップでハメるつもりだったのか)

 アーシスが歯を食いしばる。


 背後からはパットが迫ってくる。

「悪いな、俺もやるって決めたからさ……!」


(くそ……やられるかよ!!)

 アーシスは剣を抜き、迎撃の体勢を取る──。


「盛り上がってきたー!!」

 実況教師の叫び声が魔導スピーカーから響き渡った。


(つづく)



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