【10】仮想ダンジョン攻略課題① 〜パーティ結成!〜
蒸し暑く気だるい午後。
木陰では小動物たちすらぐったりするそんな気候の中、冒険者育成学校の生徒たちは、教室に集められていた。
教師の一人、筋骨隆々の男「ゴルザック教官」が教壇の前で腕を組み、教室中を見渡しながら一喝した。
「今日から三日間の課題はこれだ!生徒同士でパーティを組み、仮想ダンジョンを攻略してもらう。課題評価は、攻略スピード・連携・戦術の応用力、この三点だ!」
教室がざわめく。
「パーティの人数は最大四人まで。自由に組め!だが明日朝までに提出しない者は、ランダムにこちらで振り分ける!」
「えーっ!」
「まじかよ、こりゃめんどくせぇな…」
そんな声が上がる中、アーシスは興味津々で立ち上がった。
「仮想ダンジョンか…面白そうじゃねぇか!」
その言葉に何人かが振り向く中、アーシスの視線の先には、窓際で同じく興味津々な表情を浮かべる赤髪の少女──シルティが立っていた。
「面白そうだな」
シルティの表情を見てアーシスはにやりと笑う。
「なあ、シルティ。俺と組まねぇか?」
ざわっ、と周囲が反応する。シルティは一瞬、驚いたように目を見開いたが――すぐに淡々と頷いた。
「……いいよ」
シルティが微かに微笑んで答える。
アーシスが「よっしゃ!」とガッツポーズを決めるのを、教室の隅でマルミィはそっと見ていた。
(やっぱりアーシスくん、すごい人だな…。私も、一緒に戦えたら…)
しかし、声に出す勇気がなかなか出ない。
その時、アーシスがマルミィの方を向いて、にかっと笑いかけた。
「なぁ、マルミィ!お前も一緒に組むよな?」
マルミィはびくっと肩を震わせた。
「えっ…あっ、えっと…わ、私、そんなに強くないし……でも……う、うん……」
顔を真っ赤にして小さく頷いたその瞬間、教室の後ろで見ていたアップルからドス紫のオーラが出ていた。
「(……いいなぁ、みんな……私も一緒に戦いたいぃぃぃ……)
教室の様子をこっそり見ていたにゃんぴんが、アーシスの肩の上でそっと囁く。
「アーシス、あと一人入れられるにゃ。アレ、気づいてないフリしてるだけじゃないかにゃ?」
アーシスはふっと笑った。
「アップル!」
不意に名前を呼ばれ、アップルはびくりと体を強張らせた。
「お、おう、な、なんでしょうか……」
「わかってんだろ!ヒーラーが必要なんだ、お前も入るんだろ? 俺たちのパーティに」
アップルのドス紫のオーラは一気に虹色に変わった!あまりの空間変異にまわりの生徒達は幻覚でも見たかのように目を擦っているレベルだ。
アップルは小さく拳を握った。
「……は、はいっ!ぜひ、お願いしますっ!」
こうして、アーシス・シルティ・マルミィ・アップルの四人による初のパーティが結成された。
それは、後に学園で“最も注目されたチーム”として名を轟かせる伝説の始まりであった――。
(つづく)
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